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「擁護派」と「批判派」それぞれの主張

 岡村発言はツイッターでも様々な意見とともに拡散されています。そして岡村発言批判から、だんだんと岡村発言批判する人を批判する人、批判する人を批判する人を批判する人などなかなかに複雑な様相を呈してきました。なぜこの発言がここまで大きく人の心をざわつかせ、様々な反応を生むのか。ツイッターに散見される擁護派と批判派の言い分を紐解きつつ考えてまいりましょう。

★岡村擁護派の主張(1)「岡村発言批判は風俗で働く女性を差別している」

 こちら「実際岡村さんは風俗産業に多大な貢献」をしており「風俗嬢にとっては太い客」であり岡村発言批判はそこで働く女性たちを否定したものではないか、という言い分。

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 これに対して批判側の反論として多かったのが、先日の蓮舫議員による「高卒」発言批判に重ね合わせるもの。コロナの影響で大学生活を送ることが難しくなっている学生への支援を求める質疑の中で蓮舫議員が「学校を辞めたら高卒になる」と発言、これが「高卒差別だ!」と炎上。海の向こうのダルビッシュ投手まで参戦する事態に。どこも火の海。

 要するに「せっかく入学したのに大卒の資格を失いそうな現実」の指摘が「学歴差別」にすり替わっているのと同じように、元々風俗を志向してない女性が止むを得ず性風俗産業に入って来るのを望むような発言への批判が、いつの間にか「風俗(で働く女性)差別」にすり替わっていると。この論争、最終的には「どちらが風俗嬢をリスペクトしてるのか」という、出口の見えない迷宮へと消えていきました……。

 てか、そもそも岡村さんの「可愛い子は3ヶ月でパッと止める」発言には「元々(可愛い子は)風俗が居場所ではない」という意味が多分に含まれており、それを「岡村さんは風俗愛がある」とするのには少々無理があるようにも思えますが。

今回の主役・岡村隆史さん ©Getty

★岡村擁護派の主張(2)「岡村発言批判は深夜ラジオの文化をわかってない」

 岡村さんはラジオで度々自身の風俗通いをネタにしており、リスナーにとって岡村さんの風俗話は「お馴染みのやつきた」という感覚だったよう。リスナーでもないやつが文字起こしのネットニュースを「見て」無粋なことをしやがると。ここでいう「深夜ラジオの文化」というのは、どうやら下ネタやdisなど公の場では言いづらいことを言える土壌、空気みたいなものを表しているようです。

 私もネットニュースで知った口なのでそれに関しては「なんも言えねえ」ですが、この主張に対する批判派の言い分は「今回の岡村発言は単なる下ネタではない(からここまで問題になった)」という点。「深夜ラジオだからといって人権蹂躙が許されるはずはない」というもの。そして「下ネタか、差別か」のこの論争もどこで道を踏み外したのか「岡村発言批判をする人は星野源や福山(雅治)の下ネタには怒らない!」と明後日の方向に。つまり「女性は誰が話したかによって怒りレベル変えてるだろ! それこそが差別!」というやつです。もはやdog eat dogならぬ差別eat差別……。