昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「新人が入っても教える余力は無い」

 騒動の最中、東京女子医大の採用担当は2021年4月入社予定の内定者らに「内定された皆様へ大切なお知らせ」と題して以下のメールを送っている。

《突然の連絡を失礼いたします。東京女子医科大学の採用担当の●●と申します。昨今の報道から皆様にご不安をおかけしており申し訳ありません。この状況を受け、内定者の皆様には正しく説明させていただきたいとご連絡いたしました。

 まず、看護師400名が辞意届を出しているというのは事実ではありません。そして今年度の上期賞与については残念ながら支給なしでした。しかしながら、現在8月に手当を支給することも検討を進めております。報道を受け、新人教育がしっかり受けられないのではとご心配のお問い合わせも受けました。教育に関しては、次年度も現在と同様にグループ研修とプリセプターシップ制度により教育していきます。(略)先輩について教育も受けられます。(略)本学としては、どんな状況でも看護に対する思いや考え方、取り組み方は変わりませんし、長い歴史の中で紡ぎ続けたものを継承していきたいと思って取り組んでおります》

©文藝春秋

 しかしBさんは、病院側の「400名が辞意届を出しているというのは事実はない」との主張に対し「労働組合は『400名を超える看護師の退職者が予想される』としています。組合の数字は現場で見聞きしている感覚と一致しています」とした上で、「新たに看護婦が入ってきても、今の現場に教える余力はない」と語る。

「毎年新人看護師が入ってきても、職場環境や給料面、人間関係が原因で多くが1年で辞めていきます。相当な体力とメンタルの強さが必要で、私の部署でも今年4月に入ったばかりの1年生看護師たちのほとんどが、すでに『辞めたい』『他の病院へ行きたい』と話しています。先日、病院側の弁護士が『(看護師が)足りなければ補充すればいいこと』と発言しましたが、看護師を育てるには時間がかかります。あの言葉には怒りしかありません。現状では人員が足りず、新人に教える余裕はないです。

 ただ、看護師一人一人は責任感が強く、『コロナの患者のために行かなきゃ』とか、『コロナ患者がいたら助けなきゃ』と、患者ファーストの気持ちは揺らいでいません。自分のことは後回しにしてしまうのが医療者だと思います。ただ、今の状態のままでは、第2波のコロナと闘う人員が確保できず、医療崩壊は近いと思います」