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 発端は大きなニュースになった東京・新宿でのクラスターだ。新宿シアターモリエールで6月30日~7月5日の間、全12公演が上演された舞台「THE★JINRO-イケメン人狼アイドルは誰だ!!-」。主催者のライズコミュニケーションは7月15日、公式ホームページで出演者17人、スタッフ8人、客34人の計59人が感染したと発表した。

 その客のうち1人が島根県出雲市に住む10代の女子大生だと判明したのは、7月14日のことだった。

 島根県内でのコロナ感染者は女子大生が25人目だったが、そのうち23人が4月上旬、松江市内のガールズバーで発生したクラスターとその家族という限られた範囲だった。2カ月ぶりの感染者の発覚に、島根県内は大騒ぎとなった。

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「島根県の丸山達也知事と女子大生の通う県立大学の学長が同席し、記者会見した。深夜だったが、地元テレビ局によるYouTubeライブに県民はみな釘付けだった」(知人男性)

島根県の丸山達也知事 ©共同通信社

 7月14日の記者会見の場で、県立大学の学長は同じキャンパスに通う学生と教職員にPCR検査を要請すると表明。女子大生は無症状だったが、指定医療機関に入院することが決定した。

 7月16日に島根県は行動調査の結果、女子大生の濃厚接触者はゼロだったと発表したが、周囲の対策は続いていく。

 まず、出雲市内にある県立大学のキャンパスが閉鎖された。女子大生のアルバイト先のホームセンターと焼き鳥屋は店舗名が公表された上で、自主的に臨時休業を始めた。

誰一人いなかった女子大生が通う県立大学のキャンパス(筆者撮影)

 

 さらに、アルバイト先の従業員や客が続々とPCR検査の列に加わっていった。この時点で「検査人数1000人」と行政関係者が見立てていたという。感染拡大の防止には必要な検査とはいえ、わずか1人の感染に1000人調べなくてはいけなくなるのである。

「大規模検査」となった理由

 感染発覚から5日が経った7月19日、すでに当該キャンパスに通っていた学生と教職員593人の検査は終わり、全員の陰性が確認されていた。また、アルバイト先の従業員、客、東京からの高速路線バスの乗客ら73人も検査を受け、こちらも全員が陰性だった。