ある日、あなたの子供が「フォートナイト」で課金したい、と頼んできた。キャラクターを着せ替えるアイテムを購入するのだという。

 ゲームに課金? 何千円も? ゲームの中のアイテムを現実のお金で購入するなんて……。

 少し前までは、子供がビデオゲームに使うおこづかいをせびるときは、「ゲームソフトが欲しい」、「ゲーム機が欲しい」というものだった。財布を握りしめて近所のおもちゃ屋に足を運び、ケースに入ったゲームソフト(という形あるもの)を購入する。それが普通だった。 

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©️getty

 イマドキのゲームはすべてがデジタルだ。ゲームの仮想世界の中に店があり、現実のお金を専用通貨に換金して、アイテムを購入する。手元に形あるものは残らない。何千円、何万円をかけて実体のないデータを購入するのだ。

 ゲームの世界は変化していて、消費者である子供たちはその最前線にいる。デジタル化した経済圏は子供たちの欲求を刺激し、あの手この手を使って消費するように誘導する。

 なぜ実態のないデータを欲しがるのだろうか。何がそこまで魅力的なのだろうか。

 おこづかいを管理するあなたが知らない世界には、巨大な市場が形成されている。

どうしても課金させたいゲーム会社

 “基本無料”というゲームのビジネスモデルが急速に普及している。

 ゲーム自体は無料でダウンロードしてプレイできるが、追加のコンテンツをプレイするためには課金しなければならない、というゲームのことだ。フリー・トゥ・プレイ(F2P)とも呼ばれ、スマートフォンやPCでプレイするゲームで採用されることが多い。

 1本いくらで購入するゲームに比べて、無料のゲームは多くのプレイヤーを獲得する。限られたおこづかいしか持っていない子供にとって、無料で遊べるゲームは魅力的なのだ。

 しかし、全てのプレイヤーがお金を払わずにゲームをプレイしていたら、ゲーム会社は商売にならない。無課金で遊ぶプレイヤーをいかに課金プレイヤーに変えられるかが、“基本無料”ゲームのビジネスの勘所である。

 プレイヤーに課金させる手法として、追加のキャラクターやアイテム、進捗に合わせて遊べる要素が開放されていくパスといったものがある。ゲーム会社はこれらの手法を組み合わせて、無課金プレイヤーに対して「課金すればゲームがもっと楽しくなりますよ」と宣伝していくわけだ。