露骨な人事介入が際立った「平成」の日本警察
公安・外事・警備の司令塔となる警察庁警備局は、警備運用部の河野真部長(平元年)が、「元々警備は門外漢」(同庁幹部)で、内閣衛星情報センター出向等を経て、サイバー対策を担う生安局担当の審議官からの起用。しかも先の小柳新審議官は、今やサイバー攻撃の最大の“震源地”である中国アタッシェ組で、彼もまた生安局からのスライド組である。更に若田警備企画課長は防衛省調査課出向から公安警察本流に返り咲き、外事情報部長にも松本長官の古巣である警視庁公安部から近藤知尚部長(平元年) が初めて起用されるなど、警備警察色が一気に薄らいだ。
栗生俊一長官(56年)時代の昨年4月に新設された警備運用部を巡っては、後任の松本長官は安倍内閣肝いりのG20の6月大阪開催に備えた俄か仕立ての上に、従来の警備課に屋上屋を重ねるものとして批判的だったと言われ、むしろ日本の安全と平和の上で、最大の盲点となっているサイバー対策を緊喫の課題として、今の警備局の、サイバー局へのバージョンアップを急ぐべしとの考えのようである。
「平成」の日本警察は、戦後の「昭和」を長きに亘ってリードしてきた公安・警備警察に代わって刑事警察が主導してきたが、第2次安倍政権になってからは、更にそれに取って代わった政治派の“官邸ポリス”が突出することになる。官僚組織のトップである内閣官房副長官に杉田和博元警備局長(41年)が就いたことで、古巣の警察庁への露骨な人事介入が際立っていった。
齋藤警視総監も、それに翻弄されたひとりである。
東京五輪招致が決まった2013年、7年後の2020年の警視総監に警備警察主流派の齋藤氏を据えることを早々と決め、それに間に合うべく逆算して異動ポストが想定され、当時の警察庁総務課長から直ちに警視庁警備部長に転じた。。しかし警察庁のオリンピック担当の警備局審議官に続く、総括審議官だった2017年、菅官房長官が秘書官時代からお気に入りだった中村格組織犯罪対策部長(61年)に、2015年に露見した親安倍派のジャーナリストの準強姦事件を巡る“逮捕状もみ消し”への批判をよそに審議官ポストを襲われ、この為齋藤氏は追い出されるように、神奈川県警本部長に放逐された。