豚の違法な解体や、農作物の盗難など、相次ぐベトナム人技能実習生による犯罪。その影には実習生を受け入れる日本側の企業や、それを監理する組合による搾取があり、ベトナム人たちは「生活苦」から犯罪に走るといわれる。

 彼らベトナム人実習生はコロナ禍でも日本に入国してきているが、その条件は14日間の隔離だ。だがその隔離制度すらも利用して、金儲けに走る日本の業者がいることが関係者への取材でわかった。

コロナ禍で一時期、実習生の入国は止まっていた。そのため「一刻でも早く入れたい」と、関係各機関が躍起になっていた ©室橋裕和

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コロナ禍に入国後、「密」のタコ部屋に押し込める

「コロナ禍のいま入国してきたベトナム人実習生は、本来は14日間の“個室での”待機が義務づけられています。ところが、タコ部屋に何人も押し込めている業者がいると聞きます」

 そう話すのは、技能実習生の受け入れに関わる会社を運営するYさんだ。

 コロナ禍の入国制限の中でも、ベトナム人技能実習生は少しずつ日本に入ってきている。2020年10月から、ベトナムのほかシンガポールや韓国など10カ国を対象に、一定の防疫措置を取った上で入国を相互に認めるようになったのだ(後に中国も加えて11カ国となる)。これはビジネス渡航や長期滞在者に限定したものだが、技能実習生も含まれる。

 12月28日からは、イギリスで発生した変異ウイルスを水際で防ぐため、日本は外国人の新規入国を停止としたが、11カ国のビジネス関係者の往来は含まれていない。

「実習生は金の生る木」と考える送り出し機関、組合、受け入れ企業によってベトナム人実習生が搾取される ©室橋裕和

「実習生はおもに“レジデンストラック”という仕組みを利用して入国してきます」(Yさん)

 出発前にベトナムで検査を受け陰性証明書を取得、日本に入国後14日間は公共交通機関を使わず、自宅等での待機が求められるというものだ。

 そのため実習生を受け入れる企業を監理する組合や、組合から請け負ったYさんのような会社が、空港まで迎えに行き、それぞれに個室を与えることになっている。費用は実際に働くことになる企業が負担する。

「実習生は14日間はどこにも出かけられないため、買い物の代行もやります」(Yさん)