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 これは受講する実習生が1人でも10人でも同じ額なので、まとめて行ったほうが当然安く上がる。しかしいまはコロナ禍のため、2~3人ずつばらばらと入国してくることが多く、その度に講習費用がかかってしまう。

「そこでこの講習をやったことにして書類を偽造し、ごまかして代金を抜いている業者がいると噂されています。完全な違法行為です」(Yさん)

コロナ禍でもいち早くベトナムとのビジネス往来が再開したのは、実習生関連の人材業界の後押しがあったからだともいわれる ©室橋裕和

 こうした業者が絡むと、日本語の教育もおざなりとなる。教科書を渡すだけでロクに講義をしない場合もあるという。

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「一連のベトナム人犯罪を受けて、いまは『ハトを獲ってはいけません』『無断で畑に入ると犯罪です。そこで野菜を盗むとさらに罪が重くなります』などと日本の法律も説明することになっているのですが、こうした講義もやらない業者がある」(Yさん)

「新しく入ったベトナム人、ひとり2カ月5万円でいいかな?」

 そして「レジトラ」を理由に、実習生に給料を支払わない企業もあるという。

「通常、実習生は入国後すぐに給料が発生します。着地後教育中であっても支払う義務があります。しかし、『いまはコロナ禍だから』『14日間の隔離中は給料が出ない』などと実習生を言いくるめている受け入れ企業や組合もあります。その間は小遣いと称したわずかなお金を支給するだけ。明細も手書きです」(Yさん)

実習生はさまざまな国からやってくるが、ベトナムに絡んだ問題が突出して多い ©室橋裕和

 そんな企業のひとつはYさんに対して、

「新しく入ったベトナム人、ひとり2カ月5万円でいいかな?」

 と相談してきたという。レジトラも含めた1カ月の講習と、その後に仕事に入っての1カ月。この2カ月を計5万円の「小遣い」だけで過ごせというのだ。住む場所はあるが、食費もこの5万円で賄えという。一緒に来日した実習生同士で協力し、なんとか暮らしているが、背負ってきた借金の返済ができず、早くも困っているという。

「まともに給料を払うのは3カ月後から。それまであの実習生たちが逃げずに働き続けているかどうか……」(Yさん)