文春オンライン

2021/03/28

あとは人生の後片付け

――人生そのものが個性といえば、さくらももこさんもそうですよね。

山田 うん。家族の見苦しいところ、カッコ悪いところをネタにしていて、それが面白い(笑)。どうしても人はカッコをつけたくなるんですよ。失敗したくない、よく見られたいという気持ちは誰でも持っている。でも、声優の世界、役者の世界は、それでは生きていけないと思っています。

 まる子はツッコまれてもへこたれないし、なんたってあの家族は強いよね。「ウチは花輪くん家とは違うんだ!」と自分たちのポジションもハッキリわかってる(笑)。

――父ヒロシものんきですし。

山田 あんな風に生きられたら楽だよね!(笑) 今思い出したけど、「父ヒロシ」も僕のアドリブだったんだよ。それまでは「ヒロシ」だったけど、本番で「父ヒロシであった」と言ってみたら本田さん(音響監督の本田保則氏)がOKを出してくれたんです。

 アドリブはダメ元で言っていました。OKならそのまま使えばいい。ダメだったらやり直せばいい。だから、『ちびまる子ちゃん』は僕の人生そのものだね。

©深野未季/文藝春秋

――今は伊東にお住まいとのことですが、引退後はどのようなことをする予定なのでしょうか?

山田 わからないです。ひょっとして仕事が恋しくなるかもしれないしね。今、やろうとしているのは畑を充実させること。野菜をいっぱい作りたいね。運動もいっぱいしたいな。

 あとは人生の後片付け。断捨離ですっきりしてから終活をする。何年かかるかわからないけどね。なかなか思い切れませんよ。

――「人生の後片付け」とは、具体的にどんなことをされるのですか?

山田 まずはいらない物を捨てる。思い出のものはあるけど、全部とっておいたら死んだときに困るでしょう。物だけでなくて、心もそう。いろいろな欲がなくなっています。物欲はなくなりましたし、名誉欲はもともとないし。

 物がなくなれば、大事なものがわかってくると思うんです。もちろん、家族が大事だし、本当に大切な友達もわかってくるでしょう。何年かかるかわからないから、すぐやらないと。いつ死ぬかわからないからね。