母親は4回も「娘はイジメを受けているのでは」と学校に訴えた
爽彩さんは今年2月13日、氷点下17℃の夜に自宅を飛び出して行方不明となり、3月23日に変わり果てた姿で見つかった。爽彩さんは医師からイジメによるPTSDと診断され、失踪直前までそのフラッシュバックに悩まされていた。
2019年4月、市内のY中学校に入学した爽彩さんは、ほどなくして上級生のA子、B男、Z中学校に通うC男らからイジメを受けるようになった。爽彩さんの母親は、4月から6月の間に4度、学校に対し「娘はイジメを受けているのではないか」と訴えたが、担任の教師はまともに取り合わなかった。
同年6月、爽彩さんが地元のウッペツ川に飛び込む事件が起きたのちに、警察が捜査に乗り出し、加害生徒らが爽彩さんに無理やり撮らせたわいせつ画像をイジメグループ内で拡散していたことや、公園内でイジメグループが複数名で爽彩さんを囲み、自慰行為を強要していたこと等が明らかになった。わいせつ画像を送ることを強要した加害少年のC男は児童ポルノに係る法令違反、児童ポルノ製造の法律違反に該当したが、当時14歳未満で刑事責任を問えず、少年法に基づき、「触法少年」という扱いになり厳重注意を受けるのみにとどまった。A子、B男、D子、E子らその他のイジメグループのメンバーは強要罪にあたるかどうかが調べられたが、証拠不十分で厳重注意処分となった。
学校は「校内ではないのでイジメと認識していない」と回答
これらの事実が警察の捜査によって明るみに出たため、爽彩さんの母親は学校側に対して再び、「イジメの事実があったのかどうか」改めて調査するよう訴えてきた(#5参照)。しかし、2019年夏、学校側は最終的に「わいせつ画像の拡散は、校内で起きたことではないので、当校としてはイジメとは認識していない」「加害生徒にも未来がある」などと答え、イジメの事実について否定。あくまで生徒間の「トラブル」だったとして、加害生徒に「適切な指導」を行ったとした(#6参照)。
旭川市教育委員会も同時期に、学校や北海道警察、関係者から聞き取りを行ったものの「イジメの認定には至らなった」と結論付けていた。
今回の市長の発表は、こうした学校側の対応に行政の側から疑問符を投げかけた形だ。今後、第三者委員会を通して、真相の究明が進むことが望まれる。