日本の会社法を事実上ぶっち切る逸脱を平然と行う大手事業者も
他方、日本もまた、経済産業省が「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(取引透明化法)」を施行。規制対象として、Apple、GoogleやAmazon Japan、楽天グループ、Yahoo!JAPAN(Zホールディングス)の5社を指定しましたが、これらは主に、オンラインモール事業などで中小企業を中心とする出品者が取引上の不利を蒙らないようにする、というものであって、前掲のような多岐にわたるサイバー攻撃や個人に関する情報の不適切な分析、収益の源泉となる広告事業への歯止めにはなっていません。
そればかりか、国内・海外系大手事業者においては、日本国内での事業展開を行い、日本人向けにビジネスをしているにもかかわらず、その事業内容や規模、収益性に見合う充分な納税を行わなかったり、日本国内に代表権のある法人格を持っていなかったりして、日本の会社法を事実上ぶっち切る逸脱を平然と行っているケースさえも散見されます。これは、いくら日本の法務省や公正取引委員会も含めた独禁当局が対策に乗り出しても、肝心の外資系企業が事業実態を日本国内で持っているにもかかわらず責任のある法人を設立していないことで回避されてしまう問題です。
ここまでくると、いわゆる越境EC、越境データとされる問題はより広い意味で世界経済の真ん中で高収益性と各国経済のフリーライダーの象徴になってしまいかねませんので、潮流としてこれらの事業者に等しく税金を課すことができる「デジタル課税」のほうへシフトしていくのは仕方のないことだと思います。
多国籍企業に対する適切な徴税ができる仕組みが必要
OECD(経済協力開発機構)において、アメリカを中心に世界の法人税を最低でも15%とし(当初は21%だった)、世界経済におけるグローバリズムの美名のもとにデジタルコングロマリットと化した多国籍企業に対する適切な徴税ができる仕組みができて初めて、税金も個人に関する情報も自国政府が自国民のために守れる体制になっていくのでしょう。
法人税の国際最低税率、15%下限を米が提案 当初案21%から譲歩
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この中では、やはり日本はこれらの世界的なプラットフォーム事業者のサービスを受益する一方で、そこで日本社会、日本企業、日本人から得た収益に関しては日本でしっかり納税してねという動きがなかなか加速せず、また、日本人の情報がかなりの部分で取られ放題となり、気が付いたころには日本人の素性が丸裸にされていた、なんてことのないようにしていかなければなりません。