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情報を漏らされた側である私たちが適切に対処していたとしても...

 昨今ではネットマーケティング社が運営する大手お見合いアプリ「Omiai」で利用者に登録させた免許証、保険証などの身分証明に関する情報を盛大に漏洩する不始末を起こしました。さらにはユピテル社が会員情報を40万人分も流出させておきながら、報告も公開もせず適切な対処を利用者にさせないまま流れ流れて脅迫メールが到着して初めて露顕する、という惨事にまで発展しています。

 ただ、中国系のハッキング交流BBSではこの「Omiai」もユピテル社も流出した個人に関する情報の一部に値段がついて不正アクセスのための足場として普通に売買されているのを見ると、単なる情報漏洩があったという企業のやらかし案件とはちょっと考えにくい展開になっていくことも予想されます。

ユピテル、40万人分の会員情報流出 不正アクセス確認から3年以上報告せず、脅迫メール受信で公開
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/08/news095.html

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 これら一連のサイバーセキュリティの問題は、情報を漏らされた側である私たちが適切に対処していたとしても、情報を管理している事業者の側がセキュリティを破られたり、中にいる連中が勝手に利用者情報を中国企業に売りさばくなどして漏れ出てしまうと、受け身も取れずに自分の情報が望まない第三者に渡ってしまうことになります。そういう信頼できない会社のクソアプリをインストールしないという方法ぐらいしか、自己防衛のしようがないのです。

 個人情報が洩れて第三者がなりすませるような状態になること自体がすでに大問題ですが、ダイレクトに資産を失う事例も出ています。利用者から預かっている暗号資産流出事件がマウントゴックス(2011年)以降、Zaif社、コインチェック社(ともに2018年)と立て続けに起き、クレジットカードの不正利用もコロナ禍のオンライン決済急伸と共に増加傾向にあります。オンラインでの決済は便利だし、一時期値段が上がった暗号資産(仮想通貨)も投資先として面白いけど、ごっそり資産を抜かれる恐れがあるとなれば話は別です。

政府も対処しきれないぐらいの問題に発展

 知らんあいだに情報流出の被害者になっている経験のある人は少なくないでしょうし、うっかりAmazonで中国製充電池を買ったら火事になってお家がこんがり焼けた友人もおります。これ、個人がどんなに気をつけていても守りようがないんですよ。

「オンラインだから便利になったよね」とか「楽しいアプリが沢山あるね」という便利で快適なネットライフの水面下では、汚水もかくやというような大変な問題が横たわっている、ということは認識していて然るべきでしょう。

 これらの問題は、日本国内の事業者が日本人向けにやらかすものよりも、いまや海外にいる外国人が、政府の庇護を受けて攻撃をしてきたり、犯罪をかましたりという枠組みになってしまっています。個人ではどうしようもないどころか、政府も対処しきれないぐらいの問題に発展していると言っても過言ではありません。