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「もしまるちゃんがこの世からいなくなったら、私も終わりなのかな」

──正直に言うと、いまこうしてTARAKOさんとお話しさせてもらっていても、「まる子の声」に聞こえています……。当時はもっと、声をつくっているという感覚だったんですか。

TARAKO アハハハ! ほんとですか(笑)。アニメをずっと見てくださってる方はそう感じるのかもしれないですね。自分からすると当時の声はもっと甘ったるくて、とろっとろしてて。昔の動画を見ると、すごい恥ずかしくなります。

 

──声優としてデビューしてからしばらくは、ご自分の声があまり好きじゃなかったそうですね。

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TARAKO そう、大っ嫌いでしたずっと。それがまる子役に受かってから、まあ悪くはないのかなってちょっとずつ思えるようになってきたんです。アニメで『ちびまる子ちゃん』を知った方からもですし、原作ファンの方からも「まるちゃんだ」って言っていただけたことに本当に救われました。それまではずっと主役は張れない声だって言われてて、田中真弓さんとか高山みなみちゃんみたいな声に憧れてましたから。まる子は救世主でしたね。

──ただそこまで多忙を極めたり「まるちゃん」としてのTARAKOばかり求められると、反対に悩まれることもあったのでは、と思うのですが。

TARAKO 最初はありましたね。TARAKO=まる子と思われて、自分というよりももこちゃんに申し訳なかった。しかも、アニメのまるちゃんってじつはいまが2期目で、1期目は1992年に一旦終わってるんですけど、そのタイミングで一気に仕事がなくなっちゃって。当時は、もしまるちゃんっていう存在がこの世からいなくなったら私も終わりなのかなとか考えて、けっこう落ち込みました。でも、途中から「まる子が人生救ってくれたんだし、そんなふうに思うの失礼だ」って思うようになって。それからですね、楽になったのは。

 

 あと、まるちゃんがあれだけヒットしたおかげで、逆に「まる子じゃない声でお願いします」ってオファーを頂くことも増えた。まるちゃんを求められることも、そうじゃない声を求められることも出てきて、いまはどっちもうれしいと思えますね。最近はもう「つくろう」とか思わずに、できるだけ素のまんまでやろうって心がけてます。いまってコロナの影響でスタジオに入れる人数が限られているので、声優は前もって個別に脚本とDVDを頂いて、それをチェックした上で本番という流れなんですけど、私はホンもDVDも絶対もらわないようにしてるんです。

──えっ、じゃあ、演じるタイミングになるまでその日のストーリーは知らないんですか?

TARAKO そうなんですよ。収録のテストで初めて読んで、そのまま本番です。先に読むと自分が「つくって」きちゃうから、嫌なんですよね。もちろん原作のお話はなんとなく覚えてますけど、アニメオリジナルのお話は、「え~っ、こんな終わり方するんだ」ってやりながら驚いてます。他の声優さんに言うとおかしいって言われますけどね(笑)。「いきなりやって、口パクにうまく声合わせられるの?」って聞かれるんですけど、「まる子だったらたぶんこのへんで言い終わるな」ってわかるんですよ、30年やってると。