今年1月、図書館に関するツイートが話題となった直木賞作家で書店経営者の今村翔吾氏が、文藝春秋のインタビューに応え、その真意を語った。図書館が行政サービスの一環として話題作や新刊を無料で大量に貸し出している現状について、今村氏はこうツイートしていた。
《図書館に否定的な作家もいますが、私は寛容というと偉そうですが、基本的には気にしていません》
《しかしたまに『今村先生の本、10冊入れましたよ!』と嬉々として話して下さる司書さんとかおられるんですが……これには『いや、貸本屋ちゃうねんから。苦笑』と内心で思っています。教育、文化などの観点からも 図書館に入るのはいいと思うんですけど、そこまでいけばもはや『住民サービス』ではないかなと》
文庫本まで図書館で借りられてしまうのは正直けっこうしんどい
芥川賞や直木賞などの文学賞受賞作を筆頭に、新刊やベストセラーが図書館に所蔵されるや、予約人数が何百人にまで膨れ上がることは珍しくない。今村氏の作品も「262人待ち」のケースがあったという。
こうした事態に対応するために、「複本」といって図書館は同じ本を何冊も抱えることがある。特に、単価の比較的安い「文庫本の複本」に対しては、これまでも出版社や作家から悲鳴が上がっていた。今村氏はインタビューでこう明かしている。
「僕も、文庫本まで図書館で借りられてしまうのは正直けっこうしんどいです」