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“美女応援団”は「動きが不気味」

 実際、2002年の釜山アジア競技大会や2003年の大邱ユニバーシアードで北朝鮮の応援団を迎えた時と比べると、ネットでの盛り上がりなどもあまり見られない。街で声を拾ってみても、「一生懸命応援してくれて、うれしい」といった無難な声も多い一方、北朝鮮への関心の薄さが目立った。

「平昌オリンピックの準備が整ったところに北朝鮮が割り込んできた。それなのに、一方的に話し合いをキャンセルする。私は保守ではなくどちらかというと進歩派ですよ。でも、天安艦沈没事件や延坪島への砲撃もされて、困った時だけすり寄ってくる。正直、もううんざり。応援団だか楽団だか知らないけど、関心もありません」(50代タクシー運転手)

「アイスホッケーチームに突然、北朝鮮の選手が入って統一チームとかになりましたけど、あれはないなと思いました。頑張ってきた韓国の選手がかわいそう。それに、“美女応援団”とかいわれますけど、なんか動きが不気味だし、変なお面を使ったり、正直ちょっと引きました(笑)」(20代大学院生)

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お面をかぶった北朝鮮の“美女応援団” ©getty

 お面というのは北朝鮮の応援団が使った「美男仮面」といわれるもの。応援歌で使われた「口笛」という曲の歌詞の中に出てくる恋に悩む男性を象徴したものとされるが、韓国メディアが「金日成仮面」と報道して物議を醸した。

「いくらなんでも古すぎる」

 玄松月団長が率いる三池淵管弦楽団は、平昌オリンピックの本拠地・江陵市とソウルで2回、公演を行った。いずれもチケットは応募・抽選で、倍率は100~200倍ともいわれた。ソウル公演は文大統領夫妻、そして金与正第一副部長、金永南最高人民会議常任委員長も観覧し、金永南常任委員長は感極まったのか涙を拭う姿も見られたという。

 しかし、「韓国の歌も歌われましたが、1970~80年代のヒット曲で、いくらなんでも古すぎる」(30代会社員)という声も。公演で歌われた「統一の歌」については、「『統一』という言葉さえ出せば韓国国民が涙するものと思っているようですが、そんなことは50代以下にはもう通じませんよ。私は反北か親北かといわれれば親北ですが、公演をテレビで見て、韓国社会がどれだけ変わっているかも知らないのだと実感しました。愚弄するのもいい加減にしてほしい」(50代会社員)という声も聞かれた。

ソウルで行われた三池淵管弦楽団の公演 ©getty

 2000年代後半に脱北して、韓国で国策研究所の研究員を務める50代の女性は言う。

「金正日は芸術面に力を入れていましたが、金正恩が興味あるのはバスケットボールのようなスポーツ。金正日時代には年に10~20作品制作されていた映画も、金正恩時代になってからは年に数えるほどしか制作されていません。

 今の北朝鮮では芸術は死んでいると言われています。そんな背景もあったのでしょうか、三池淵管弦楽団は私が見ても古すぎると感じました」

 青瓦台では、金与正第一副部長が北朝鮮に帰国した翌12日には、わざわざ「今日は北朝鮮についての議論は一切していない」と記者団に言及するほど、世論の反応に神経をとがらせている。

 文大統領の政権を賭けての大勝負が始まろうとしている。