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直撃取材で見えた山川とA子さんの“態度の差”

 A子さんと山川に対する直撃取材でも、電話先で言葉に詰まり嗚咽したA子さんと淡々と応じた山川の態度の差は印象的だった。

 山川選手とA子さんとの関係などについて、西武ライオンズに改めて事実確認を行ったところ、以下のような回答があった。

「前回のご質問書の中でもご指摘がありましたとおり、山川の件は捜査中であり、捜査に支障が生じる可能性も否定できませんので、回答は差し控えさせていただきます」

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 球団としては、山川が遠征中のホテルにA子さんら知人女性を招き飲み会を開いたことについては「球団のルールを逸脱した」として何らかの処分を科しているようだが、事件自体に対してはあくまで捜査の推移を見守るという態度のようだ。

直撃取材に応えた山川選手 ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

「合意があったのか否か」が争点になることの多い性暴力事件において、加害者側と被害者側では事件についての認識が大きく乖離することは多い。これまで数多くの被害者支援をしてきたNPO法人アットリンク奈良の竹谷栄美理事長は、性暴力事件特有の問題点についてこう解説する。

「一般的に性暴力の加害者は同意があったと誤認しやすい面があります。

 今回の件にそのまま当てはまるかはわかりませんが、性暴力を受けた後の心理によって、被害者が事件後、相手に“迎合”するような反応をみせることもあります。事件後にあたかも大事ではないと思い込もうとしている、といった態度でLINEを返すなどの反応は、性被害者によく見られる行動で、これは人間の“生存本能”の一つといえます。

 しかしこの生存本能によって、加害者側と被害者側の認識にずれが生じることも少なくありません」

 また、竹谷理事長は「殴る蹴るの単純な暴行と比べて、性的暴行の被害者の心理は複雑」とも話す。

現場となったホテル「X」が入る港区の施設 ©文藝春秋 撮影/細田忠

性被害者の心身に起きる深刻なダメージ

「A子さんは被害から数日後に警察に行ったということですが、『なぜすぐに行かなかったのか』ということも後々、よく問題になります。ただ被害者は認識までに時間がかかるケースも多いんです。自分が被害に遭ったと信じたくない、これは性被害ではないから、と自分に言い聞かせて、なかったことにして生活しようとなってしまうこともある。葛藤があったと思います。

 性暴力の加害者と面識がある場合はさらに複雑で、大事になったときの周囲への影響などを気にします。共通の知人がいるのであればなおさらでしょう。今回のケースは相手が影響力のある著名人ということである種の上下関係があったともいえ、ますます難しいケースです。

 A子さんも多くのことを考えて苦しんでいると思います。『時間が解決する』という言葉もありますが、それは性暴力の被害には当てはまらず、A子さんの心と体の傷は想像以上に深いのではないでしょうか」

 球界を代表するスラッガーにかけられた強制わいせつ致傷の疑い。今後、捜査はどのような展開を見せるのだろうか――。

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