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 介護士の資格を取るために、まずは高齢者施設で高齢者の話し相手をする職場体験からスタートした。その後、介護士になるための学校に通い始めた。

「学校のスケジュールはハードでしたが資格を取るために頑張りました。でも、途中でうつ病がひどくなり、もう自分は介護士に向いていないのかもしれないと思って二度目のオーバードーズをしてしまいました。気づくと病院で点滴に繋がれており、二度目の自殺も未遂で終わりました。それでも生きていくのであれば、介護士になる夢をあきらめたくなかったので主治医に相談の上、資格を取るために勉強を再開して、ようやく介護士の資格を取ることができました」

 その後、派遣会社を通じて介護士として働く施設を紹介され、そこで働くようになった。その頃にはうつの調子もだいぶ良くなっており、充実した介護士生活を送れるようになっていた。

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「人の役に立てる介護士という仕事は、僕にとってとてもありがたい仕事でした。でも、現在はうつ病の調子が悪くなってしまったのと、仕事中に足を怪我してしまったため、介護士としての仕事はできなくなってしまいました。仕事はたまに漫画の仕事とティーンズラブの音声ドラマを作ったり、デザインや企業から出るフィギュアの受注生産をして生計を立てています。でも、フリーランスは仕事の波があるためいつなくなってしまうのか怖いです。このまま生活保護を受けることになってしまわないかと考え込んでしまうこともあります」

©NOBU/イメージマート

大人になってからも低い自己肯定感

 渡辺さんは、この話からもわかるように、幼い頃から虐待を受けていたため、いまだに自己肯定感が低く、何に対しても自分が悪いのかもしれないと思ってしまいがちだという。

 友人に連絡したのに既読にならず、その友人がSNSを更新しているのを見た際は、自分が何か悪いことをしたのかと思い「ごめんなさい。僕、何かしましたか?」と落ち込んで連絡をしたら、単にその友人が連絡に気づいていなかっただけということもあった。

 幼い頃、両親から受けた心無い言葉によってつけられた傷のせいもあって、いまだにうつ病に苦しまされている渡辺さん。現在進行系で親から心理的虐待を受けている人に、どんなメッセージがあるかと聞くと、次のような答えが返ってきた。

「もっとワガママになっていい。もし親があなたに暴言をぶつけてくるようなら、

 早く親から逃げたほうがいい」

 17歳で親から逃げた渡辺さん。父親はすでにがんで亡くなった。亡くなる直前に仲直りはしたものの、訃報を聞いたときは「ざまあみろ」と思ったという。母親とは連絡を取り合っているが、いまだに親を許せず、うつ病にも苦しまされている。