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「感謝祭」の失敗はノベルティが足りないから?

横田 すると社員に「なんで呼ばないの」って文句を言われるんです。呼べば1人7秒間ぐらい短縮できて、全部の客数で数えると、これだけお客さんが捌ける……みたいな計算が上から言われるんです。そんなのおかしいでしょ。

松本 ユニクロに言わせると、次のお客様を待たせることの方が良くないという理屈なんですが……。

横田 だけど、それまで散々待って、ようやく会計に来たらすぐ脇にどけって、どうなんですかね。結局この感謝祭は7日間やって売上が伸びて成功しましたが、前年の2015年の感謝祭は大失敗でした。その原因について柳井正社長が「ノベルティのステンレスボトルが足りないのがいけなかった」と「部長会議ニュース」(毎週の柳井社長の発言で始まる「部長会議ニュース」が休憩室に貼り出され、従業員は読んだらハンコを捺すことになっている)で言っててすごく驚きました。景品目当てで来るお客さんもいるでしょうけど、原因は明らかにそれまでに2回値上げしたせいなのに。感謝祭中は売れ行きが悪いのにどんどん商品が送り込まれて、バックルームに在庫が山ほどあって歩けないほどでした。

横田増生さん ©松本輝一/文藝春秋

松本 うちもそうでした。売れないけど入ってくる。

横田 お客さんから在庫を聞かれると探しに行くけどとても見つからない。

仕事量が多すぎるのか能力のせいか。サービス残業の実態

松本 宝探しみたいなものですよね(笑)。僕はその頃、新しい店長が評価してくれて、責任ある仕事を持たせてくれるようになってきてました。でもだんだんやはり頑張りきれない自分がいて、感謝祭もパフォーマンスとしてはもうグダグダになってしまった。12月ぐらいにはもう退職の意思を店長に伝えたんです。引き止められたりいろいろありましたけど、結局年末には話が固まりました。ただ、年末年始の繁忙期が終わるまでは働いて、1月末退社したわけです。

横田 後悔はしてないですか。

松本 全くしてないです。むしろよかったと思ってます。あの時に辞める決断をしたのは間違いじゃなかったと思う。

©松本輝一/文藝春秋