法務省の公式サイトによると、日本国内の刑事施設(未決拘禁者を収容する拘置所、刑が確定した者を収容する刑務所、少年刑務所)は2022年4月現在で刑務所59、少年刑務所6、拘置所8、刑務支所8、拘置支所97の合計178で、このほかに矯正教育のための少年院など、少年のための施設がある。

 これほどたくさんの施設があるのだから、出所者の数も相当なものである。それを支援しようというのは、並大抵のことではできない。

 たとえば大阪に本社のあるお好み焼き店・千房では日本財団の「職親プロジェクト」に賛同し、社長みずから山口・美祢社会復帰促進センターの出所者の更生に力を入れており、テレビや新聞などで紹介されている。

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 この職親プロジェクトとは「職を通じて親代わりになろう」というコンセプトで、日本財団と関西の企業7社が連携して2013年に発足した。企業の担当者が刑務所で受刑者と面接し、採用者には出所後に住まいを提供し、最長で半年間の就労体験を経て、正社員としての定着を目指すものだ。

 2017年に参加企業は東京や福岡にも広がり、90社と10倍以上に増えているが、やはり定着率は低いようだ。継続した見守りや叱咤激励が必要である。

 この活動を知ったとき、「俺もこういう活動をしたい」と思ったことも五仁會発足のきっかけのひとつなのだ。

「前科53犯の更生者」から学んだこと

 また、地元紙の神戸新聞が紹介していたスウェーデンの更生支援組織の記事にも感銘を受けた。首都ストックホルムで犯罪者の更生を支援するNGO(非政府組織)KRIS代表のクリステル・カールソン氏がとても興味深い人物だったのだ。

「殺人と性犯罪以外はだいたいやった」というカールソン氏は人生の半分の約30年を少年院や刑務所で過ごしてきた。身長190センチ・体重120キロ、元薬物依存者で前科53犯、両腕にはタトゥーを入れている。

 氏はみずからの経験を生かして更生支援を続けているという。お嬢さんの誕生をきっかけに更生の道を歩むが、それも簡単ではなかったようだ。

 私もカールソン氏ほどではないが、刑務所暮らしも経験しているので、更生の支援もできると思った次第だ。

 こうした事例のヒントもあって、五仁會の発足にいたる。

 実際には多くの方に相談し、助言をいただき、また苦言もいただいた。そうしたなかで、多くの仲間に恵まれ、発足にいたることができたのである。しかし、楽ではなかったが、思ったより早くスタートさせることができた。これも賛同いただいたみなさんのおかげであり、この場を借りて御礼を申し上げたい。

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