「親子も友達も結局は“個”。だからブルース・リーがアイドルでした」

有働由美子のマイフェアパーソン 第63回

エンタメ 映画 読書

news zeroメインキャスターの有働さんが“時代を作った人たち”の本音に迫る対談企画「有働由美子のマイフェアパーソン」。今回のゲストは、作家の柚月裕子さんです。

 有働 こうしてお会いするのは初めてですが、実は私たちは“共演”しているんですよね。昭和末期の広島を舞台に、暴力団同士の激しい抗争やそれに関わるマル暴担当刑事たちの姿を描いた『孤狼の血』シリーズの映画第2弾『孤狼の血 LEVEL2』。私はニュースを読む声だけですが出演させて頂きました。

 柚月 私はクラブのママ役で、少しだけ出演しました。主演の刑事・松坂桃李さんの手に触れるという役得もありまして(笑)。

 有働 柚月さんは原作者として、映画第一作の『孤狼の血』を見て、「心が火傷した」と賛辞を送っていらっしゃいましたね。

実は『孤狼の血 LEVEL2』に出演している ©文藝春秋 (有働氏衣装協力 レキップ/KAJITA)

 柚月 冒頭、いきなり暴力団組員が、拉致した金融マンに養豚場で豚の糞を食べさせたり、指を切り落としたりする強烈なシーンから始まります。これを見て、「かなわないな」と思いました。

 有働 映画だからこそ実現できる視覚的な迫力がありましたよね。

 柚月 私の場合、小説執筆時に細部まで映像を考えて書くことは少ないんです。北方謙三さんが「自分は細かな描写は書かない。いい女、いい男など『何をいいとするか』は読者に考えてもらうことだ」とおっしゃっていたのが脳裏に刻まれていて。私も登場人物の印象は描写しますが、造形などは結構漠然としています。小説の面白さって、読者の想像力によるところが大きいんです。

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source : 文藝春秋 2024年4月号

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