今年の夏、ラグビーの取材でウェールズを訪れた。
羽田から片道およそ12時間かけてヒースロー空港に降り立ち、パディントン駅から鉄道で約2時間半のところに、首都のカーディフはある。かつて炭鉱で栄えたが、時代の波とともに衰退し、いまは歴史ある古城と長閑(のどか)な田園風景に囲まれた静かな街だ。
街のなかをタフ川と呼ばれる大きな川が流れ、かつてカーディフ城の敷地だった場所は広大な公園になっている。そこではラグビーをはじめ、サッカーやキャッチボールといった様々なスポーツを楽しむ人々の姿がある。建物は古い石造りのものが多く、街灯や店先に飾られた色とりどりの花が目に美しい。
街を散策していて最初に目に留まるのが、案内図の文字だ。英語で表記された文字の下に、見慣れない単語がある。ウェールズ語だ。
ウェールズ語はケルト語に属し、国の公用語だった。13世紀末のイングランドによる制圧、16世紀の併合後に使用を禁止されるが、時間とともにウェールズ文化を保存する声が高まり、1993年に英語同様の使用言語に認められている。
次に印象的なのが、ウェールズの国旗だ。表通りはもちろんのこと、裏路地や店のなかなど、至るところに赤いドラゴンの旗が揺れている。自国の旗が街中で掲げられている光景は、日本では馴染みがないものだった。
取材は、カーディフに入った翌日から行った。
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source : 文藝春秋 2019年10月号