ウクライナ、ガザ……そのとき国際金融の現場で何が起きたか

短期集中連載 第1回

神田 眞人 前財務官
ニュース 社会 経済 国際

人類は歴史の岐路に立っている。世界秩序の崩壊と破局を阻止し、希望ある世界を死守しなくてはならない――

「この時代、米国やIMF(国際通貨基金)に逆らってまで為替介入などできっこない」

「政治向けのアリバイ作りかマーケットへのはったりだろう」

「口先介入など見え見えで全く効かない」

「ドル売り介入は円売りと違って、原資に限界があるから、投機筋には勝てない」

 円安が止まらない中、もっともらしい見解がマーケットを支配し続けていた。実際、日本の為替介入は10年以上、円買い介入に至っては20年以上行われたことがなかった。

 2021年夏。2022年秋に決行した為替介入の序章はこの頃に遡る。私が財務官に異動した前後だ。数か月前に緊急事態宣言が全面解除されるなど、新型コロナウイルス感染症の流行も収束に向かっていたが、世界経済はその後遺症に苦しみ始めていた。

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source : 文藝春秋 2025年1月号

genre : ニュース 社会 経済 国際