GW為替介入の裏に策士あり

波乱の円安時代を生き抜く

岩本 さゆみ 経済評論家
ニュース 経済 マネー

最も効果的なタイミングを狙った?

 盆暮れ正月、ゴールデンウィークなど日本人が休暇気分の時は往々にして相場が荒れやすくなります。日本に拠点を置く外資系金融機関には、日本の祝祭日は関係ありません。そのため、東京支店のディーリング・ルームに在籍する社員が持ち回りで休日出勤をして、急な相場の動きに備えていました。

 市場参加が閑散とする状況は「薄商い」と言われます。通常であれば、今現在、取引されている実勢レートの上には売り方(かた)の、下には買い方(かた)の注文がずらっと並びますが、「薄商い」のときは売り方、買い方ともに注文は極端に少なくなります。

 普段は“硬めのバームクーヘン”のように、売り買いの注文は幾重にも重なり分厚くなりますが、「薄商い」は注文数が少ないので“パイ生地でできたスカスカのミルフィーユ”の状態となります。前者なら、フォークをちょっと刺したぐらいでは、さほど奥までたどり着きません。ところが後者となると、軽く突き刺しただけでも、いとも簡単に、かなりの深さまでフォークが到達します。「薄商い」の相場ではレートが上下動しやすいわけです。

 今回はゴールデンウィークの「薄商い」の中で、政府・日銀がドル売り・円買い介入を実施した模様です。

 参加者が極端に減った4月29日の午前中は、投機筋により円安が加速、34年ぶりに1ドル160円台をつけました。しかし、午後からは一転して160円台から154円台へと円が急騰したため、市場では政府・日銀が為替介入に動いたとの観測がすぐに浮上しました。

 日本時間5月2日の未明には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、「米政策金利の変更はなし」と公表されました。米国夏時間なら会合結果は同日の早朝3時に公表され、その後、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見が行われます。

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source : 文藝春秋 2024年7月号

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