臆病者のための新NISA活用術

波乱の円安時代を生き抜く

橘 玲 作家
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◆新NISA 複利と非課税のパワーは絶大

◆選ぶべきファンドは4つに絞られる

◆理想は日野原さん。「老後」は短く

◆日本株投資に隠れたリスク

 NISA(ニーサ)はイギリスの個人貯蓄口座(ISA)をモデルに、2014年1月に始まった少額投資非課税制度(日本版ISA)で、2018年に「つみたてNISA」が加わり、10年目を迎えた今年1月から制度が大幅に拡充された。NISAの最大の魅力は株式やファンドの配当・分配金や譲渡(売却)益が非課税になることで、簡単にいえば、政府が国民に向けて、「税金を払わなくてもいいようにしますから、自分で資産形成してください」と促す制度だ。

 これまで日本人の老後は、国と会社の年金によって“悠々自適”が約束されてきた。税優遇のある資産形成制度の導入が遅れたのは、収入の一部を投資に回せる富裕層だけにメリットがある仕組みだと思われ、多くの国民が不公平に感じると懸念したからだろう。

 だが少子高齢化によって年金制度を支える現役世代の数が減り、受給者の数だけが増えることで、いまや制度の持続可能性が揺らいでいる。1950年には65歳以上1人に対して15〜64歳人口が12.1人だったが、40年後の2065年にはそれが1.3人になる。1人の現役世代が、子育てと親の介護をしながら、さらに高齢者1人を支えなければならないのだ。

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source : 文藝春秋 2024年7月号

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