「値下がりしても絶対に売らない」。レジェンドが大切にしてきたこと
「伝説のサラリーマン投資家」
そう呼ばれてきたのが清原達郎氏だ。東大を卒業後、野村證券やゴールドマン・サックス証券などを経て、1998年に投資会社「タワー投資顧問」に入社。ヘッジファンド「タワーK1ファンド」を立ち上げ、2005年には同社運用部長というサラリーマンでありながら、高額納税者番付の第1位に輝いた。
K1ファンドの運用利回りは25年間で9300%を誇ったが、昨年ファンドを閉鎖して引退。今年3月1日に上梓した『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)は、発売前から重版を繰り返し、15万部のベストセラーとなった。800億円を超える個人資産を築き上げた清原氏に「投資の極意」を聞いた。
ありがたいことに、これまで寄せられた『わが投資術』への反響は、「良かった」という声が大半です。この手の投資本はガチガチに真面目に書くと、プロ向けの難しい内容になり、一般の個人投資家からは「買って損した」と思われがちです。だからと言って、誰にでも分かりやすく書こうとすると、アホみたいな内容になってしまう。そのバランスが難しく、3回も書き直しました。私には後継者がいませんから、これまで蓄積してきたノウハウは誰にも継承されません。それならば、全部世の中に「ぶちまけてしまえ」と思い、本を書く決断をしたのです。
日本株はバブルには程遠い
3月4日、日経225(日経平均株価)が史上最高値となる4万円を突破しました。急上昇した最も大きな理由は「そもそも日本株は、低金利を前提にすると安すぎた」からでしょう。また、コロナ禍の大規模な金融緩和により、株式市場にお金が流れ込んだ「過剰流動性相場」も背景にありました。さらに米中関係が悪化したことで、中国株に資金を配分しづらくなり、相対的にアジアにおける日本株の優先順位が上がったことも重なったと考えられます。
よく将来の日経225の予想レンジを尋ねられますが、私に聞いても何の意味もありませんよ。絶対に当たりませんから。当てずっぽうで答えれば「3万円から5万円」です。
日本株全体としては、まだバブルと言うには程遠い水準でしょう。急激に値上がりしましたから、今後揺り戻しが起こって多少は値を下げると思いますが、例えば核戦争などの突発的な大事件が起こらない限り、暴落するリスクはほとんどないと見ています。
11月にトランプ氏が再び米国の大統領になったら、株価が下がるのではないかと心配している人もいますが、誰になろうが、日本株に全く影響はないと思います。ただし、半導体製造装置等の一部のセクターには明らかな過熱感があり、危険な水準になっていますから要注意です。近寄らない方がいい。
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