「パフォーマンスには満足している様子やったわ」

　2023年4月11日、伊藤忠の岡藤正広会長兼CEOは、フォーシーズンズホテル東京大手町のロビーに集まったメディアにそう明かした。岡藤氏がこの直前まで会っていたのは“投資の神様”ウォーレン・バフェット氏。バフェット氏は商社株の好調な値動きを喜んだ。

　この時、12年ぶりに来日したバフェット氏の元には大手総合商社5社の首脳が相次いで訪れ、個別面談に臨んだ。そのトップバッターだった岡藤氏がお土産として新潟県の燕三条で作られたタンブラーを手渡すと、バフェット氏はこう言った。

「これにコカ・コーラを入れて飲もうかな」

　コカ・コーラは、バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが、古くから投資していた銘柄として知られる。「商社株も長期投資の対象だ」という意味にも受け取れるバフェット氏の軽口で、場は一気に和んだという。

　バフェット氏と商社の蜜月が始まったのは20年だ。同年8月31日午前（日本時間）、バークシャーが5社の株式の5％超を取得したと発表すると商社株は軒並み急騰。三菱商事株は前週末比7.7％、三井物産株は7.3％、伊藤忠商事株は4.2％、住友商事株は9.1％、丸紅株は9.5％高くなった。

1. TOP
2. ニュース
3. 絶好調！ 5大商社を鍛えた失敗の歴史