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特集私が令和に語り継ぎたい「平成の名言」

2019/04/30

日本人をハッと我に返らせ、来し方行く末を考えさせた

 蓮舫議員のこの発言は官僚や経済界だけでなく、科学者・研究者らからも強い批判を浴びた。彼女にとっても意図しない、とっさに出た言葉だったかもしれない。この年の「新語・流行語大賞」でも「政権交代」が大賞に、「事業仕分け」もトップテンに入ったが、「2位じゃ~」は翌年のノミネート止まりだった。

©共同通信社

 しかし、私に言わせれば、個人の発言という枠を超えて、日本人をハッと我に返らせ、来し方行く末を考えさせる言葉だった。その延長線上には、北欧型の高福祉高負担社会の構想や、明治維新後、わずかに想定された「小国主義」的な考え方があり得たかもしれない。「別に一番じゃなくてもいいじゃない。身の丈に合った社会にしていこうよ」。そんな、根本的な発想の転換を促す意味が込められていたような気がする。

 立ち止まって考え直す絶好のチャンスだったが、民主党政権の脆弱さが先に立ってかみしめられなかったのは返す返すも残念。平成で最大の意味を持つ「名言」だったし、いまも意味を失っていないと思う。

©文藝春秋

ガッツ石松のパソコン教室CMはつらかった

 もう1つ、個人的に思い入れがある「平成の名言」が――。

「時代は変わったのよ」

 個人の発言ではなく、2002年のパソコン教室「アビバ」のテレビCMキャッチコピー。CMはあまりヒットしなかったが、後になって、これほど時代を表した言葉はないと思うようになった。

 娘役の鈴木紗理奈に「違うってば! それじゃなくてこれ」と叱られながら、パソコンに悪戦苦闘する父親役のガッツ石松。突然「パソコンがなかった時代は、体力と笑顔で乗り切れたんだ!」と叫ぶ。すると紗理奈はさとすようにこの言葉をかける。

平成に入ってからタレントとしてもブレイクしたガッツ石松 ©文藝春秋

「父の理屈や感覚の方が正しいのかもしれない。健全なのかも。それは分かるが、時代は否応なく変わっている。どれだけ不満があっても苦しくても、現実に対応していくしかない。お父さん、分かってよ」という気持ちだろう。切ない。理屈でも感情でもなく、現実はこうなんだと有無を言わせず提示される。つらい。

 続編は当然、父親がパソコン教室に通って技術を習得するストーリーだった。

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