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誰もが“あおり運転”の加害者になりうる? 「怒りの感情と上手に付き合う方法」とは

日本アンガーマネジメント協会・安藤俊介代表理事に聞く

2019/09/21

genre : ニュース, 社会

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気持ちを落ち着かせ、衝動をコントロール

 まず、あおり運転は「犯罪になりえる」「人の命にかかわることになる」ことを知ってほしい。そのために、チラシを作ったり、ブックレットを作成するなど、情報提供に努めています。

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 絡まれたと思ったら、(加害者の車を)先に行かせましょう。鉄則は「相手の視界から消える」なんですよ。相手から見えているということは、怒りの対象が見え、攻撃し続けます。とにかく「消える」ことです。

 逆にご自身が加害者になってしまいそうな時も、相手の見えないところへ行くことです。進路を変えるのもありだと思います。姿が見えなくなれば、怒りは消えます。

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 東名や常磐の事件が起きましたが、何度も事件化することで、社会全体の対策の必要性に関する認識が上がっていくと思います。ただ、一回の事件だけではなかなか変わりませんよね。そのため、しつこく、私たちは取り組んでいこうと思っています。誰かがやらないといけません。

――チラシの中にいくつかの「気持ちを落ち着かせるための、テクニック」が書かれていますね。

安藤 例えば「6秒ルール(どんなにイラっとしても6秒待ちましょう)」があります。怒りの感情が生まれてから、理性が介入するのに数秒かかると言われています。アメリカでは「6秒」とは言っていないのですが、我々の調査では6秒となりました。反射せずに待ちましょう。そして、衝動のコントロールをしましょうということなんです。

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「深呼吸をする」や「気持ちが落ち着く言葉を自分に言い聞かせる」のは、そのための手段です。ホスト界の帝王と言われているローランドさんが、「ちょっとくらい割り込まれてもさ、なんか『大好きな車に乗る時間がちょっと増えたな』と思ってさ、『どうぞどうぞ』って思うし、余裕が出てくるじゃん。余裕って大事だよね」と言っていたことが話題になりましたね。

「家族の写真など大切なものを見えるところに置く」は、タガを作ることです。かつて「2ちゃんねる」を作ったひろゆきさんが、ブログで「無敵の人」と言いました。社会的縁のない人は「無敵」になります。無縁社会は暴力が突発的に起きます。

秋の交通安全運動週間にチラシやステッカーを配布

――この取り組みについて、周囲の反応はいかがでしょうか。

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安藤 「NEXCO西日本四国支社」が協力してくれています。春と秋の交通安全運動週間に、四国地方の高速道路でチラシやステッカーを配布していただきます。

 協会独自の取り組みとして、東名高速の足柄SAで配布しました。すると、商業車の方々が先に取って行きました。「なるほど」と思いました。

 実は商業車が被害者になっている現状があります。商業車は匿名ではありませんので、攻撃されやすいのです。そして、反撃もしにくい。かつては大型トラックが小さい車をあおるイメージですが、今は逆にあおられるんです。

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 首都圏でも、秋の交通安全運動週間を中心に、10月15日までチラシやステッカーを配布する予定になっています。事件のあった常磐道での配布も検討しています。

 そのほか、ホームページからも無料でダウンロードできます。

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