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 早川町教育委員会の佐野正昭教育長(63)によれば、受け入れ体制・教育の強化によって、早川中学校は全生徒20人中9人、早川南小学校は全児童23人中6人、早川北小学校は20人中11人と、半分以上が町外の児童で占められているという。

「もちろん絶対数は多くはないので、部活動を例にすれば、運動部は陸上やテニスといった個人競技だけですし、音楽部でも1桁しか部員がいないことだってあります。

 でも、少人数制できめ細かい指導や独自のカリキュラムが組めるので、のびのびと成長していく子どもも多いんです。2017年には部員10人の音楽部が山梨県吹奏楽コンクールで金賞を取ったこともありました。部員5人の今年も県で銀賞です」

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早川町教育委員会の佐野教育長 ©文藝春秋

「オムツはAmazonで頼めばいい」

 町外から来たという30代の女性に会うことができた。4人の子どもたちの洗濯物を取り込みながら快活に笑う彼女から、この町での生活をきいた。

「私は関東出身で、色々住んできましたが、この町は子育てしやすい環境ですよ。もちろん不便は不便ですが、家庭菜園をやったり子どもと本気になって山遊びができる。町でオムツは売ってないけど、いまはAmazonで頼めばいい。近所のお年寄りには、子供が三味線を習ったりしていますよ」

町の数少ない幼児はのびのび暮らしていた ©文藝春秋

 飲食店に勤める40代の女性も、町での子育てのメリットを語る。早川町出身だという彼女は、町外で結婚後、また早川町に戻ってきたという。

「子どもは明らかにこっちに来てから変わりました。積極的になったし、部活動も頑張るようになった。この町では水道は共同管理なので水道代はかからないし、そもそも家賃も安いから、都会の人が思うよりも生活している感覚としては割と豊かなんです」

 そのほかの子育て世代に聞いても、「この町に来て、子供たちがいきいき生活している」など、良い話しか出てこない。