母親を悩ます“お茶当番”
筒香も自身の出身チーム・堺ビッグボーイズで父兄から聞いた話としてこう応じた。
「近くのチームに入ろうとしたら、あまりに(指導が)怖すぎて入部できなかったという声が多々ありました。また練習が長すぎて子供たちが遊びに行ったり、勉強する時間がない、また親も“お茶当番”があるので子供たちと出かけたり、お母さんたちが何かやりたいことが何もできないという声も聞きました」
このことを報じた文春オンラインの記事は大きな反響を呼び、その結果、筒香の元には母親たちから窮状を訴える“ファンレター”が届くようになった。
手紙の1つ1つに目を通して、筒香は改めて問題の根の深さを再認識したという。
「手紙を下さった中で、野球の指導者はほとんどいなかったですね。指導者の方で『僕も考え直さなくちゃいけないと思いました』というのは1人か2人くらいでした。後は男性だと、『僕も賛成しているので、良かったら仲間に入れてください、参加させてください』というものが多かった。ただやっぱりこの件に関して圧倒的に多いのは、野球をやっている子供を持つお母さん方からの手紙です」
それぐらいに母親たちにとり、子供に野球をやらせることの負担は大きく、その窮状を訴えたくても訴える場所もないということだ。だから筒香の発言を聞き、藁にもすがる思いで筆を執ったのだろう。
「お母さん方から来た手紙は、監督、コーチの車での送り迎えとか、昼ごはんの用意や来客へのお茶出しをする“お茶当番”のことが多かったです。監督はこのコーヒー、コーチにはこのお菓子とか決まっていて、それを用意しなければならない。しかも人数が多くないチームだと“お茶当番”が回ってくるのも早い。土、日は球場に行って何かするのが当たり前になっている。子供たちが夏休みでどこかに遊びに行きたいというときに、チームに相談すると、それなら辞めろと言われるので、野球しかできない。子供たちも好きなことができない。そういうお母さんからの訴えが多いです」