一日のすべての時間を家族と過ごすことは、自分のペースを乱されるようで緊張状態が続きます。ハードだと認識する人も少なくないでしょう。
また、急遽始まった在宅勤務で、仕事と家庭の境界が曖昧になってしまう人も多い。自分のペースで仕事が出来ない上に、ズルズルと家庭と仕事の境目があやふやになっていく。これでは精神的に鬱屈して当然です。
この場合も、まずお勧めしたいのは、時間を「見える化」することです。先述のように、毎日のルーチンの時間を固定し、1週間でどのくらいの時間が手元にあるのかを確認する。その上で、「朝は自分で洗濯をしよう」「昼のこの時間は仕事に集中する」「土曜日の午前は1人で1時間散歩に出よう」など、家族とそれぞれの「自分時間」を相談するのです。
次にすべきことは、その一日にやったことを手帳やノートに書き込んでおくことです。仕事でも家事でも構いませんし、「久しぶりに友人と連絡を取った」といった出来事でも構いません。それらを書き留めておくだけで、公私の区別すらない「メリハリのない日々」に埋もれてしまっていた生活の輪郭がぐっと見えてくるようになります。
自分が何をしたのかを目で見てわかる形に残すことで、過小評価してしまいがちな自分の成果を客観的に捉え直し、過剰に自分を追い込んでいたことに気づけるようになるのです。
不安をコントロールできる人には共通点がある
先行きの見えない不安な日々のなかで、上手く心身をコントロールできる人には共通点があります。それは、「“今”コントロールできることに集中できる」ことです。
いつになったら日常が戻るのか。果たしてこのままで大丈夫なのか。先行きのことを考えて不安になる気持ちはとてもわかります。ただ、不安にばかり目が向いてしまうと、目の前にある現実が歪んで、ますます自分で自分を追い込んでしまう。一般に、過剰に不安になる背景には、「将来」の心配という自分ではすぐにコントロールできないものに意識を向けていることがあると言われています。こうした不安を減らすには、「今」に意識を向けて、コントロールできるものに淡々と対処することが大切です。
「将来」が不安な日々でも、「今」に意識を向ければ、天気が良いときは溜まっていた冬物のダウンを洗ってみるなど、自分のコントロールの及ぶものに取り組めます。トイレの掃除をしてもいいし、犬の散歩をしてもいい。まず目の前の出来ることを確実に達成していくのです。
こんな日々でも家族の家事分担を見直すチャンスと捉えてはいかがでしょう。 家族の「見える化」をすすめることで、“コロナ後”も自分と家族の時間を上手くやりくりできる新しい関係が築けるかもしれません。