ただし、伊原木知事は検温の撤回時、「高速道路会社には、県内の高速道路の効果的な場所でインターチェンジを閉じていただくようお願いする」と新たな他県民の流入抑止策をぶち上げた。これがまた物議を醸すことになり、「土木部の担当課は今も電話が鳴りっぱなしです。それはもう職員が疲弊してしまうほどです」と前出の職員がため息をつく。
「知事発言で今後の観光に影響が出るかもしれない」
“封鎖”を要望された高速道路はどうなったのか。
西日本高速道路の中国支社は「もちろんどこも封鎖していません。岡山県への物流を滞らせるわけにはいきませんから」と話す。5月1日までの交通量は通常の7割ぐらいに減っているといい、「走行しているのはトラックなどの物流関係に絞られてきています」と語る。
流入抑制のターゲットになった観光地はどうか。美観地区を抱える同県倉敷市の観光課は「県外からの観光客はほとんど来ていません。施設はほぼ休みですし、開いてる店舗も数えるほど」と言う。
観光関係者の1人は「知事発言で今後の観光に影響が出るかもしれないと不安です」と眉を寄せる。「コロナ禍が収まっても岡山には行きたくない」という声が出ているからだ。「新型コロナウイルスの影響とダブルパンチにならないことを願うだけです」と言葉少なだった。
県外ナンバーへのあおり運転や投石が発生
県知事の発言は徳島でも話題を呼んだ。徳島県内で4人目の感染者が確認されたことを公表した4月21日、飯泉(いいずみ)嘉門知事が「県内の各施設で県外ナンバー車の実態調査を行う」と明らかにした。神奈川県から帰って来た人が感染するなどしていたのが理由だ。
この発表が引き金となって、県外ナンバーの車へのあおり運転、投石、傷つけ、暴言が発生した。飯泉知事は「強いメッセージになり過ぎたかもしれない」と、他県ナンバーの車に嫌がらせをしないよう県民に呼び掛ける事態になった。
一方、「来ないで」というメッセージに多くの共感が集まった県がある。島根県だ。