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About Episode 2 : 天才児童

――子ども時代の家庭教育で、人生に最も大きな影響があったのはどんなことでしょう。

 父からは、どんな権威も信じないように教わりました。母からは、個人的な感じ方でも、文字にすれば他人と共通の感情が生まれるという意義があることを教わりました。

――幼稚園と小学校は、合計で9カ所も通ったとのことですが、どうしてですか?

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 毎年転校していれば、夏休みの宿題をしなくてもいいからです(笑)。

 学校はみんなを同じコースで競争させます。普通は高校の頃にはおそらく2つか3つのコースに分かれますが、やはりみんな自分と近くの人を比べるしかありません。学生は、コースを外れてもっと高いところ、あるいはもっと違う景色が楽しめるさまざまな別の場所へ行くことはできません。

 ルートが固定されているから、勝者と敗者が存在するんです。でも、社会に出ると、そういう勝ち負けによってみんなの能力が規定されるわけではないと分かります。

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 幼稚園は3カ所、小学校は6カ所行ったからでしょうか、私にはそうしたコースは作られたもの、与えられたものに思えます。誰でも、最後に行く道は与えられたコースではなく、自分の命の赴く方向なのです。その道は、山あり谷ありかもしれません。曲がりくねっているかもしれません。誰でも、自分の行く道の上ではギフテッド(天から与えられた才能=天才)なのです。

 誰もが他の人とは違います。

 みんな同じというのはある種の幻想です。私はその幻想から早く覚めたというだけです。

――小中学校の教育がどのような方向に発展すれば、子ども時代のあなたは学びたいと思いますか。

 現在、台湾の国公私立学校で行われている「教育実験」と、民間のホームスクールでの「実験教育」は、すでにシナジー(相乗効果)を生んでいます。今ではより自由な学習指導要領と学習方法があり、一般の公立学校でさえ、子ども時代の私のように1週間に3日間しか学校に通わない生徒でも問題ありません。

 ほかにも、多くのホームスクール団体が用意したさまざまなプログラムは、いずれの選択も合法です。法律の後ろ盾があるので、私が子どもの頃にあってほしかった変化はすでに起こっていると言えます。