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大谷、羽生、瀬戸、桃田…1994年生まれのアスリートが“最強世代”である理由《オレオレ感はまるでない》

大谷、羽生、瀬戸、桃田…1994年生まれのアスリートが“最強世代”である理由《オレオレ感はまるでない》

2021/06/22

大谷の父は「野球を一生の友として楽しんでくれればいい」

 だがいずれもプロ野球選手や五輪選手に育てようとしたわけではなく、あくまで親と子の遊びの延長。大谷の父・徹さんは「野球を一生の友として楽しんでくれればいいと思った」と語り、藤浪の父・晋さんも「野球を通して人間としての素養を身に着けてくれたら」と述懐。それでも大谷が中学1年になると、父は「バッティングに関して教えることは何もなくなった」と笑っていた。

 そして彼らの親たちは、自分の考えを押し付けるのではなく、あくまで子供の考えを尊重し、自分で考えるよう仕向けている。子供を引っ張るのではなく、後ろから押すのが親の役目という考えが徹底していた。

羽生結弦(2016年) ©JMPA

 家庭や学校で考える力を醸成された彼らは、世間の常識や周囲の意見にとらわれず、自己分析能力に長け、自分が正しいと思ったことは貫き通す選手に育った。身体や技術に対する知識も豊富で、このトレーニングをすればこの筋肉が鍛えられ、それがパフォーマンスにどう繋がるという知識は、並みのコーチより詳しい。奥原はすでに高校時代、監督に代わり選手全員の個々のメニューを作成していたと言う。だからこそ彼らは世界のトップに立てた。

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「オレオレ感」をまるで感じさせない

 そして彼らはみな素直で穏やか。一世代前のトップアスリートはどこか尖ったところがあり、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出していたが、94年組は「オレオレ感」をまるで感じさせない。これだけの才能が揃っていれば、自分は特別と思えないのも当然だろうが、「子供の意志を尊重する」という学校のゆとり教育と親の考え方が一致していたのも、心に歪みを産まない要因になったともいえる。

高木美帆 ©JMPA

 まもなく東京オリンピック・パラリンピックが開催される。ピア効果で実力の拡大再生産が起きている94年組に、また新たなヒーロー・ヒロインが誕生するに違いない。

大谷、羽生、瀬戸、桃田…1994年生まれのアスリートが“最強世代”である理由《オレオレ感はまるでない》

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