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「カジノ誘致」は横浜の問題にすべきではない

 たとえば、カジノ誘致の是非。今夏の市長選の主要な争点の一つとされています。

 しかしながら、その論争は本当に今の横浜市民にとっての最大の関心事なのでしょうか。カジノをつくることが本当にコロナ後の横浜市“全体”、さらにいえば、横浜の若者や子どもたちを幸せにするものなのでしょうか? 政府・自民党が強く推し進めてきた「IR推進法」の成立を実現するための動きなのではないか。そもそもカジノではなく、コロナ後の経済の立て直しこそが喫緊の課題ではないのか……。疑問は尽きません。

 カジノなんて自民党の中の問題でしょう? 横浜の問題にすべきではないでしょう? 市民は新しい市長にはもっと自分たちのことを考えて欲しいでしょう?   

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 シンプルに、そう思うのです。と同時に、私自身が立候補する・しないの問題以前に、私が政治の“渦中”に身を置く過程で学び、知り得たことを、たくさんの人たちに知ってもらいたいと考えるようになりました。

 横浜に限らず日本全体の政治が今後変わっていくために、横浜市民をはじめみなさんにまずは共有すべき価値がある。そう思ったからこそ、書籍という形で世に出すことを決め、少しでも注目を得られるよう、ラッピングバスというインパクトの大きい宣伝の手法を選んだのです。

著者・池田純氏

なぜ横浜市長選は盛り上がらないのか

 この数カ月間考えてきたテーマの一つが「なぜ横浜市長選は盛り上がらないのか」ということでした。

 約380万の人口を誇る横浜市は、全国主要都市の中で特別区部(東京23区・約960万人)に次いで第2位の大都市です。にもかかわらず、市長選が全国レベルで大きく盛り上がることは過去にほとんどなかったと思います。東京都知事選や大阪府知事・市長選は全国メディアでも連日報道されるのに、横浜市長選の注目度はさほど高くない。いったいなぜでしょうか。

 それは、横浜市が「しがらみに囚われた日本一大きいローカルタウン(田舎)だから」だと考えています。

 横浜と聞いて多くの人がイメージする横浜駅やみなとみらい、関内などがある中区・西区はいわゆる都会です。しかし、横浜市は全部で18の区からなり、面積も広大です。中心部から少し離れただけで、住宅地や山や田畑の多いエリアも広がっています。そこにほとんどの横浜市民は暮らし、生活しているのです。

 ところが、カジノ論争に象徴されるように、選挙の争点になるのは中心部2区の話ばかり。もちろん郊外の市民もみなとみらい等に足を運ぶことはありますが、「カジノができるか、できないか」は、多くの市民が自分自身の市民生活や恩恵とは直接関係がありません。だから喫緊の「自分ごと」として、実はそこまで大きな興味・関心は湧いていない。横浜のカジノに関しても、オリンピック同様“なし崩し的”で“不透明な情報”だけですし、“直感的に反対”の心情になるのは当然だと思います。