最近、小池知事の周辺で業務に当たる管理職から私あてにメールが届いた。そこにはこんな悲痛な言葉が綴られていた。

「職員がもう死にそうです」

 都庁は今、リバウンドが顕著になってきたコロナ対応に加え、オリンピックを目前に控えて新たな大量動員の指令が発せられるなど、管理職のみならず一般職員までが戦々恐々として身構えている。

ADVERTISEMENT

 もちろん、こうした業務量の急激な増大や本務とは別の業務に当たる困難さは、都民の命を守るため、あるいは五輪開催都市としての責任を全うするために避けて通ることができない。だから、それだけを理由にして件の管理職が「死にそうです」とSOSを発信した訳ではない。

©iStock.com

小池都政5年間が都庁を萎縮させた

 もうひとつ、別の管理職から送られてきたLINEも紹介しよう。

「モチベーションは下がる一方です。言われたことだけを最低限、しかも表面を整えて適当にやっておけばいいや、そんな空気が都庁内に蔓延しています」

 この空気感を作り出した張本人こそ、誰あろう小池百合子東京都知事その人である。外から見ただけでは、都庁の萎縮ぶりはなかなか理解できない。小池知事は意外と頑張っていると評価する人も少なくない。支持率も60%前後と高水準だ。しかし、小池氏が都知事に就任して以降、都庁は確実に萎縮し機能低下に陥り、職員も確実に疲弊しているのだ。

 私はその理由を最新作『ハダカの東京都庁』(文藝春秋)の巻末に「小池知事7つの大罪」としてまとめた。曰く、恐怖政治による人心掌握、繰り返される情報操作、都財政を悪化させた隠れ浪費などなど。この5年間、都庁職員は小池知事の自分勝手な振る舞いに振り回されてきたのだ。

 併せて、小池知事の本質は、報道ニュースのメインキャスター時代から変わっていないとも指摘させていただいた。換言すれば、当意即妙の受け答えでその場を仕切ることは得意だが中身のほどは…、ということである。

のし上がることが自己目的化

 さて、問題はここからだ。メディア映えだけが小池知事の関心事なのは周知の事実だが、ではなぜメディアに映る自分の姿を気にするかといえば、自己のイメージを操ることで政治家としてのステイタスを最大化しようとしているからに他ならない。