「組み立てライン」は流れ作業ではなく……
塗装が終わると、パーツを組み付けるライン工程に入る。自動車メーカーの製造ラインといえば、ベルトコンベア上での流れ作業がイメージされるだろう。しかしやはり、光岡自動車の組み立てラインは、「流れ作業」からはほど遠いものだ。定められた列はあるものの、工程ごとに車両を止め、時間をかけてパーツを取り付けていく。
パーツの取り付けに時間がかかるのは、取り付けの下地を作る作業が必要になることにも由来している。大手メーカーであれば、ライン上で取り付けるのはユニット単位で納品されたパーツ群(assy)であり、いわゆる「ポン付け」の形になる。一方で、オリジナルの部品も多い光岡の工程においては、パーツのユニットを作り、車体に取り付ける加工が必要になるのである。
ちなみに、このようにベース車を改造してビジネスにしている会社は海外にも例がないという。コストやリソースに対して利益が見込みにくい、というのは実際の工程を見れば明らかだろう。
完成車両のチェック
塗装を終え、パーツの組み付けが完了した後は、仕上げのチェック工程に入る。塗装にチリやホコリが入り込んでいないか、といったところから、部品の品質検査まで、職人が自らの目で確かめていくことになる。
仕上がった車両を見ると、もはやベースの車両が何であったのかは素人目に判断できなくなっている。一方で、衝突被害軽減ブレーキなどの機能はそのままベース車両のものを活かせるという。
とくにバディは、2018年発売のRAV4をベースとしており、最新の先進安全装置が搭載されている。全車速にわたって前走車を追従する「レーダークルーズコントロール」や、車線維持を支援する「レーントレーシングアシスト」といった機能も当然利用できるわけである。