コースは小ぶりだが、光をまとって疾走するミニ四駆と、それを興味深く眺める子どもたちの姿があった。この日のために組み立てた2台のマシンを競走させつつ、開発を統括した鈴木匠太氏(株式会社プレースホルダ)に訊くと――。
「仕掛けは“プロジェクション・マッピング”の応用で、天井に設置されたセンサーが、マシンに貼られた蛍光シールの位置を走査しています。それをリアルタイムにコンピュータに伝送し、同じく天井に設置されたプロジェクタから画面効果を投影すれば、“光るサーキット”の出来上がりです」(鈴木氏)
スマホアプリや自動運転車と共通の技術が
試行錯誤したというこのサーキットだが、センサーやカメラなどは汎用品を組み合わせている。したがって同社が独自開発したのは、主にソフト部分になる。
「スマホアプリやゲームによく使われるゲームエンジンに『Unity』がありますが、それが普及して、3Dを扱うのが簡単になりました。『トイロパーク powered by リトルプラネット』では『ミニ四駆デジタルサーキット』の他にも、『AR砂遊び』や『光と音のデジタルボールプール』など、3D技術やプロジェクション・マッピングを応用した子ども向けの展示物を用意しています」(鈴木氏)
ラップタイム測定など、現代のセンシング技術をフル活用しているのが興味深い。光の軌跡がマシンに追随する自然さにも感心したが、走行中のミニ四駆を強制的に停止させると、光だけが先走る現象が見られた。
「ハードウェア面ではセンサーの、ソフトウェア面ではゲームエンジンの進歩によって、こういった演出が可能になりました。物体の形や距離をレーザー光で検知する技術は、クルマの自動運転などにも使われています」(鈴木氏)
最新テクノロジーを結集したサーキットといえど、レースの主役になるのはあくまでも、電池で走る昔ながらのミニ四駆だ。デジタルがアナログを引き立てる――という構図が面白い。
AmazonなどのECサイトが勢力を増しているなか、通販ではなく、実店舗で玩具を買う魅力を再発掘したい。そういう試みでできた施設がこの「トイロパーク」なのだという。