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 そういえば90年代当時も、「ポケモン」や「たまごっち」などのデジタルゲームが流行るなか、ミニ四駆は数少ないアナログの流行品だった。「マインクラフト」に馴染んだ現代の子どもにとっては、ボディのバリを取り、ギアボックスにグリスを塗る体験は新鮮だろう。

オトナ世代の思い出すミニ四駆といえば……

 ところで、タミヤのヒット商品「ミニ四駆」の歴史は1968年に遡る。発売当初の商品名は「クイックレーサー」。電池とモーターで自走する単純な自動車模型として300円(当時)で市場に投入され、ラジコンカーより格段に安いことから好評を博した。

 これが大ブームとなるのはそれから20年後のことだ。昭和も末期にあたる1987年、「コロコロ」誌上でミニ四駆を題材にしたマンガ『ダッシュ! 四駆郎』の連載が開始すると、その人気に火が点いた。

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 中心になったのはカスタマイズ性を高めた「レーサーミニ四駆」シリーズで、この流行は「第1次ブーム」とされる。翌88年からは全国大会の「ジャパンカップ」が開催され盛況。公式レースの規則が整備されたため、単なる玩具ではなく“競技”として認知されるようになる。

 しばらく間を置いた後、1994年には同じく「コロコロ」誌上で『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の連載が開始し、後に「第2次ブーム」と呼ばれる流行の火付け役となった。90年代の主役は「フルカウルミニ四駆」シリーズで、どのモデルもタイヤの一部が隠れるようにデザインされており、絶妙な統一感があった。

新旧3世代のミニ四駆が揃い踏みした図。向かって左の「サイクロンマグナム」は『レッツ&ゴー!!』における星馬豪の愛機だった。

 このように、過去2回にわたるミニ四駆ブームの背景には「コロコロ」連載作の存在があった。『四駆郎』『レッツ&ゴー!!』ともテレ東系列でアニメ化されているが、「コロコロ」&「テレ東」といえばまさしく子ども文化の中心地。メディアミックスを追い風に大流行となったのである。

マンガのミニ四駆に憧れたあの頃

 1986年生まれの記者は、ちょうど「フルカウルミニ四駆」の世代にあたる。友だちが遊んでいるのを見てミニ四駆を買いに行ったものの、当時は知識がなく、選んだ「リバティーエンペラー」(93年発売)は旧シリーズの売れ残りだった。それが悔しくて、以降「コロコロ」を毎月チェックするようになったことを覚えている。