手作りメロンパンの写真を載せたツイートがバズって一躍有名人となった、日本が大好きすぎるラトビア人、アルトゥルさん。新型コロナウイルスの影響で来日が叶わなかったことを理由に、大好きな日本のメロンパンを自分で作ってしまうくらい、日本文化への愛に溢れている。
2021年11月に出版された『アルトゥルと行く!不思議の国・ジャパン』(原作:アルトゥル、漫画:ぺぷり、KADOKAWA)は、アルトゥルさんの日本文化との出会いを詰め込んだコミックエッセイ。初めての日本旅行や、悪戦苦戦した日本語勉強の記録など、ほっこり笑えるエピソードを堪能できる本である。
『アルトゥルと行く!不思議の国・ジャパン』の担当編集者、柳沢奈緒美さんはこう話す。
「新型コロナウイルスの感染が広がって閉塞感を強く抱いている時期に、アルトゥルさんがメロンパンについて熱く語っているツイートを見て、すごくポジティブで元気をくれる方だから人気があるんだと思いました。本書のメインテーマは『海外から見た日本のおもしろさや魅力の再発見』ですが、アルトゥルさんの穏やかで可愛らしい人柄が、ツイッター以上に伝わってくるところもポイントです」
小学生の頃に日本のアニメにハマり、普段はエンジニアとして働いている27歳のアルトゥルさんは、2017年に日本人のshoさんに連れられて初めて日本を訪れた。現在はジョージア在住で、なかなか日本には来られない状況だが、現地の日本人と交流したり日本語を学んだりしているという。
エッセイには、日本やジョージアで様々な日本文化に触れたアルトゥルさんの反応が、漫画家・ぺぷりさんの可愛らしいイラストで描かれている。
「好きなエピソードはたくさんありますが、語学学習の際に筆ペンを使うエピソードが特にいいと思います。ツイッターで『“筆ペソ”って書いちゃった』とつぶやかれていたのを、漫画ではさらに深掘りして、アルトゥルさんが現在住んでいるジョージアで筆ペンを探すエピソードになっています」(同前)
「今はコロナの影響もあって、様々な新しい体験や出会いが奪われています。この『アルトゥルと行く!不思議の国・ジャパン』は、アルトゥルさんの好きなものに対してまっすぐなところや、ポジティブな探求心に元気をもらえる一冊になっています。アルトゥルさんの異文化理解への好奇心を通して、『自分も新しいことに挑戦してみようかな』という気持ちになれるといいなと思っています」(同前)
アルトゥルさんが現在住んでいるジョージア、そして出身国であるラトビアは、かつてソビエト連邦の一部だった。2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻を受け、アルトゥルさんはツイッターで『すべての人が穏やかに過ごせる日が早く戻ることを願います』と投稿している。
「国籍や立場を超えて理解し合うこと、人間同士の心の交流も、この本の大きなテーマです。アルトゥルさんが大事にされている平和への想いも、本書を通じて今一度感じていただけたらと思います」(同前)
2021年11月発売。初版1万4千部。(電子含む)