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SNSやサブスク契約はどうなる…? “立つ鳥跡を濁さず”逝くための孤独死マニュアル

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「自分では『通帳やカードは1箇所にまとめて置いてあるから大丈夫』と思っていても、処理を担当する方からは『ここにあるもので本当に全部かどうかわからない』という問題があります。やはり銀行口座、クレジットカード、保険など資産に関するものを一覧で残しておくことは重要かと思います」(同前)

コクヨのエンディングノート(写真提供:コクヨ)

登録していたサブスクは? 遺族を悩ますデジタル遺品

 近年は、「デジタル遺品」という概念も広がってきた。デジタル遺品とは、故人が遺したパソコンやスマホなどのデジタル機器、及びそこに保存されたデータなどをまとめて指す言葉だ。

 デジタル遺品の整理を請け負う企業も増えており、日本PCサービス株式会社もデジタル遺品サポートサービスを提供している。同社の発表によると、デジタル遺品に関する相談件数は2020年9月~2021年7月で306件と、前年同時期の130%に達し、増加傾向にあるという。同サービスについて、日本PCサービス株式会社に取材した。

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「弊社はデジタル機器全般のトラブル解決で全国展開しており、2016年7月から本格的にデジタル遺品サポートサービスを開始しました。

 当時、法に基づいて適切に遺品整理を行う“遺品整理士”の方々がメディアで注目を集めていました。しかし、遺品整理士の方にお話を伺ってみたところ、『専門知識が必要なので電子機器への対応は難しい』というご意見がありました。そこで葬儀社と業務提携するなどして、企業として遺族の方々の困りごとに応えることにしました」(日本PCサービス株式会社広報部)

 遺族からの最も多い相談が「遺されたデジタル機器のパスワードがわからない」。近年は「解約したいが、故人がどのサブスクに登録していたかわからない」という相談も多い。

SNSやサブスクなどを一覧にしておくとよい

 デジタル機器の専門家であっても、SNSの扱いは困りどころだという。

「いかんせん個人情報が絡むので、SNSの扱いは難しい問題です。不正アクセス禁止法などに抵触してしまうため、どうしても弊社ができる範囲が限られてしまうんです。なので、『故人のSNSアカウントを削除してほしい』という相談を受けても、スタッフが直接処理を担当することはできず、あくまで“ご遺族様による削除方法の案内”という形に留めています」(同前)

 デジタル遺品をめぐる数々のトラブルに携わってきた経験から、どんな生前準備を推奨するか?