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エンディングノートの場所を“わかりやすく”しておく

「公正証書遺言や自筆証書遺言と違って、エンディングノートに法的効力はありませんが、あるとないとでは大違いです。どこのお墓に入りたいかも、書き残しておかないと第三者にはわかりません。せっかく一族代々のお墓があって、そこに入るつもりでいても、ただ自分が心の中で『こうしよう』と思っているだけだったら、無縁仏になるかもしれません。『ここのお墓に入れてください。そのための費用はここから使ってください』というようなことを書き残しておくと安心です。

 また、意外に大事なのが“エンディングノートの場所をわかりやすくしておく”ことです。どれだけ詳細に希望をまとめていても、発見された頃には後の祭り……なんて危険性もあります。警察や大家さんが住まいに立ち入ったとき、ぱっと目に付きやすい場所にノートを置いておきましょう。エンディングノートの在り処を生前に誰かと共有しておくのもいいですね」(同前)

いくら通帳やカードを1箇所にまとめていても……

 菊田理事は、「要点さえ抑えていれば、市販のエンディングノートではなく、普通のノートを使うのでも問題ありません」と語る。とはいえ、やはり素人だと想像が至らない部分もあるだろう。さまざまなニーズに応えるため、現在のエンディングノートの項目は多岐にわたる。コクヨ広報部に問い合わせたところ、同社で販売されているエンディングノートにはこんな項目まで用意されているという。

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「少し意外なところでは、『ペットについて』と『宝物・コレクションについて』の項目でしょうか。やはり自分がいなくなった時にペットがつらい思いをしないように、好きなエサや苦手なエサ、飼育の仕方など、きちんと書いておきたいという方がたくさんいらっしゃいます。

 宝物・コレクションも同様で、自分に何かあったときにコレクションが捨てられたり変な扱いをされたりしないように、『これは誰それに渡してほしい。これはどこどこの店で売ってほしい』など、きちんと書いておかれる方が多いです。この他にも、『自分にとっては大切だけど、他の人には価値が伝わりにくいかもしれない』という内容については、書き残しておくのが安心かと思います」(コクヨ広報部)

 死後事務を担当する親族がいる場合もいない場合も、資産にまつわる情報をまとめておくことは重要だ。特に「『これで全部』ということは、明言しないと伝わらない」というのは気づきにくい点ではないだろうか。コクヨ広報部の担当者は、このように説明する。