「エンディングノートは重要です。パソコンの中にいろいろな情報をファイルで残している方は多いと思いますが、結局パソコンを開けないと意味がありません。パソコンのパスワードがご遺族にわかる状態にしておくことは大切です。IDやパスワードと一緒に『SNSやサブスクなど、どのサービスに登録しているか』を一覧にしておくのも、ご遺族にとっては助かることだと思います」(同前)
親族がいる場合もいない場合も、やはり「エンディングノートを書き、わかりやすい場所に保管する」のは一番重要なポイントらしい。
終活適齢期は50代、マストなのは60代
一般社団法人・日本少額短期保険協会の孤独死対策委員会が昨年6月に発表したデータによると、孤独死発生から発見までの平均日数は17日とのこと。2週間以上となると、真冬でもない限り、遺体は傷んでくる。その処理のために大掛かりな特殊清掃なども必要になってくるかもしれず、「遺体が死後早く発見されてほしい」と考える人も多いことだろう。
現在、高齢者の見守りサービスを各社が提供しており、スタッフが定期訪問するもの、自宅にカメラやセンサーを設置するもの、LINEで定期連絡するものとサービス内容はさまざま。自身の生活の負担にならない範囲での安否確認の方法を選ぶことができる。
ここまでの文章を読んで、「死後事務委任契約やらエンディングノートやら、デジタル遺品の整理やら大変そうだ」と感じた人もいるかもしれない。そう、終活とは細々とした作業がいろいろあって面倒なものなのだ。
一般社団法人・終活協議会の菊田理事は、「終活は頭を使いますし、やることが多くて体力的にも大変です。終活適齢期は50代、マストなのは60代。必要性を感じたら30代、40代でやっておいてもいいでしょう。何にせよ70代、80代にとっては、かなりの重労働です」と注意を促す。
やるべきことを済ませたら、あとは“いかに生きるか”
終活は、自身の死を意識する行為だ。そのため生前整理という作業自体を不吉なもののように捉える人もいそうだが、菊田理事は「終活とは、より豊かに生きるための準備です」と語る。
「“備えあれば憂いなし”という言葉は、自分の死についても言えます。いろいろな知識を身につけて、早くから準備をしておけば、死に対する漠然とした不安は解消されるはず。やるべきことを済ませたら、あとは“いかに生きるか”です」
死について考えることは、生について考えることにも繋がる。漠然とした不安を抱えたまま日々を過ごすよりは、やれることをやって気持ちよく旅立ちたい。