2002年、アメリカのメディアによる報道がきっかけで次々に明らかになっている世界各国のカトリック教会での性虐待問題。2022年4月1日には、19世紀から1990年代までカナダの寄宿学校で、カナダ先住民の子供たちへの虐待があったと、ローマ教皇自らが謝罪した。

 この問題は収束する気配を見せず、いまだに波紋を呼んでいる。

21万人以上の未成年が聖職者の“餌食”に

 そんななか、特に衝撃的だったのが2021年10月5日、フランスでの調査報告だ。1950年以降、フランス国内では推計21万人以上の未成年者がカトリック教会の聖職者など3000人以上から性被害を受けたことが発覚したのである。

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 フランス国内で未成年時に性暴力を受けた被害者の数は累計550万人とされていることから、聖職者や教会関係者から未成年の時に性暴力を受けた人はフランスの性被害者全体の4%を占めることとなる。加害者としては、家族と友人の次に聖職者が多いということがわかったのだ。

 信仰の対象として絶対的な権威を誇り、社会に根差すフランスのカトリック教会で、どのようにして子どもへの卑劣な性虐待が何十年も蔓延してきたのか――。調査をまとめたレポートや海外の報道を踏まえ、実態をお届けする。

カトリック教会で行われていた性的虐待を隠蔽したとして批判されたポーランドのスタニスワフ・ジヴィス枢機卿 ©getty

 性暴力は、一般的には男子と比べて女子の方が被害に遭いやすいとされている。しかしカトリック教会の聖職者による未成年への性暴力の被害者は、男子が80%、女子が20%を占めており、男子の割合が非常に高いことが特徴的だ。レポートでは、男子の被害者が占める割合が高い理由について、子どもへの性虐待の温床だったカトリック教会の学校が、元々男子校だったことを挙げている。

 被害者の一人は、被害を受けた時のことを以下のように証言している。

「学校にいた修道士は、私を呼び出し、他の修道士がいる前で私を机の上で何度もレイプしました」