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 また、聖職者による児童への性的暴行が行われていながらも、教会関係者たちが「見てみぬふり」をし、場合によってはその事実を組織的に隠ぺいしてきたという実態も、世界各地のカトリック教会に対する調査で次々と明らかになっている。

「不公平だ」調査に反対するカトリック教会の“悪しき体質”

 2022年1月20日、英ガーディアン紙は、前教皇ベネディクト16世がドイツ ・ミュンヘンで大司教をつとめていた際、子どもに対する性的虐待の過去がある神父をその事実を知りながらミュンヘンの教会の司祭に任命し、結果として新たな被害者を生んだと報道。同神父はのちに投獄されたものの、前教皇ベネディクト16世は適切な処置を講じなかったことで、激しく批判されていた。

司祭による性的虐待を隠蔽してきたドイツのカトリック教会への批判 ©getty

 こうした連綿と続いてきた性虐待の歴史。それはカトリック教会の悪しき体質が影響している。

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 スペインのカトリック教会でも、少なくとも数百人から数千人の子どもたちが聖職者及び教会関係者から性虐待を受けてきたことが判明しているが、同事案を調べる独立した調査機関を作るかどうかは、各政党で意見がわかれている。しかも、スペインのカトリック教会は調査が進められることに反対。聖職者の一人は、「カトリック教会の事案に絞って調査することは、不公平だ」とまで発言しているのだ。

2021年3月18日、カトリック司祭による性的虐待疑惑などを隠蔽しようとした可能性のある聖職者についての報告書を受け取ったライナー・マリア・ウォエルキ枢機卿。ウォエルキ枢機卿には調査を妨害した疑いがもたれていた ©getty

 各国で、明らかになっていない被害も相当の数に上るだろう。

 調査が進むフランスでは、被害者への補償も始まっている。フランスのカトリック教会は、不動産の売却や寄付を通じて、被害者たちに2000万ユーロもの補償を集めているという。しかしながら、自らの権力と信頼を恣意的に使った子どもたちへの虐待の温床となり、その事実を組織的に隠してきた教会の信頼失墜はまぬがれない。

 カトリック教会は、教会の透明性を高め、同じような被害を二度と起こさないような組織体制を構築することはできるのだろうか。