フランスのカトリック教会による性虐待は、13歳以下の子どもが格好のターゲットとなってきた。報告書によると、初めて性被害を受けた年齢は、10歳から13歳が55%と最も多く、次いで9歳以下が22%と続く。同じ被害者に対して、長い時には数年間にわたって性虐待が繰り返されたこともあったという。なお、フランスのカトリック教会による18歳以下の未成年への性虐待は、全世代のうち93%と異常に高い。
性虐待が行われる環境や状況も多岐にわたる。学校はもちろん、学外のキャンプやスカウトなど、またセラピーと称して行われることもあったという。
被害者が告発した「内向的な性格を治す風呂セラピー」
被害者の一人は、「内向的な性格を治すために一緒に風呂に入る」というセラピーを通して、聖職者から性暴力を受けたと話している。中には、家族ぐるみの付き合いがある神父から、被害者の家で性虐待されたという人が何人もいるという。調査レポートは、フランスのカトリック教会には(子どもへの)「性虐待の文化」が存在し、世代を超えて引き継がれてきたと指摘してもいる。
聖職者からの性暴力を受けた男性が、その後に自身の弟を性虐待したというショッキングな例もある。自身が所属するコミュニティが絶対的な存在として信頼する聖職者たちから受けた性暴力は、被害者の心に甚大な傷を残すのだ。被害者のなかには、信仰心を失うだけでなく、何十年にもわたってトラウマを抱え、自殺をした人もいる。
何十万人もの被害者を出しながら、フランスのカトリック教会の児童虐待はなぜ長い間表沙汰になることなく続いてきたのか。
調査報告書を作成したJean-Marc Sauvé氏は、英BBCの取材に対し、「2000年初頭までカトリック教会は被害者に対して完全に、そして残酷なぐらい無関心」であり、「被害者の告発に耳を傾ける人はいませんでした。性的虐待が起こったのは、被害者のせいだと思われてきたのです。被害者の言葉を信じる人はいませんでした」と述べた。