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悲鳴を上げて逃げた望月衣塑子記者 「取材続けて」と手を差し伸べる赤木雅子さんの声は届くか

悲鳴を上げて逃げた望月衣塑子記者 「取材続けて」と手を差し伸べる赤木雅子さんの声は届くか

2022/05/04
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ドラマ「新聞記者」に遺書や家族写真に基づくと思われる描写が

 望月記者は今年1月、ドラマをめぐるトラブルが再び週刊文春で記事になり、俊夫さんの遺書などを返していないと指摘された。これに対しツイッターで「遺書は元々お借りしていません」と書いている。

 だが事実上の遺書にあたる「手記」を含む多くの文書のデータと、家族のプライベートな写真を含む大量の画像データを、雅子さんから受け取っている。それは記事の参考にするためだが、望月記者はそのデータを雅子さんに無断で報道と無関係の第三者に渡したことを、後に雅子さんに明かしている。これは「報道目的で借りた資料の無断流用」にあたるだろう。

 そしてドラマ「新聞記者」にも、遺書や家族写真などを見たと思われる描写が出てくる。雅子さんがドラマ側に資料を渡していないのに、誰かが流用した疑いが出てくる。だから雅子さんは、取材をしないのならデータをすべて削除してほしいと求めているのだ。それでも最後まで望月記者を責めることはなかった。

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「ただ会って、誤解を解いて、取材を続けてほしいって伝えたい。ただそれだけです」

 この言葉を受けて司会者が、「この会場にも東京新聞の方がいますので、伝わると思います」と引き取った。実際、複数の関係者が来ていて東京新聞の上層部に伝わったそうだ。だが会社からも望月記者からも雅子さんに連絡はない。社のある幹部は「内容証明付きの文書でも来ない限り対応するつもりはない」と語ったという。望月記者のトラブルを“なかったこと”にしたいのだろう。

日本記者クラブで行われた赤木雅子さんの会見

最新作ドラマ「新聞記者」にだけ触れない望月記者

 実は望月記者も、自分が深く関わったドラマ「新聞記者」を“なかったこと”にしている。

 今年2月、大阪市内の2か所で相次いで講演を行った際、望月記者は自著「新聞記者」を原作とした映画「新聞記者」と自身が出演した森達也監督のドキュメンタリー「i―新聞記者―」、それに菅前首相を描いた「パンケーキを毒見する」と、いずれも河村プロデューサーが手がけた3つの作品を、映像も一部交えて解説した。ところが同じ河村氏の制作で映画の続編と位置付けられるネットフリックスのドラマ「新聞記者」だけは、最新作なのに一言も触れなかった。

 しかも、どちらも予定時間を大幅に超えて講演を行い、会場の質問を受け付けなかった。これに違和感を抱いた参加者もいたようで、SNSにこのような書き込みがあった。

〈Netflixの「新聞記者」も流して例の件について釈明があるかと期待したが最後まで言及なし。質問しようと思ったが講演時間超過で質問時間カットされ残念。モヤモヤ感が拭えない〉