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 番組公式サイトでは、賢秀について「勉強は苦手、素行も悪いが心優しい家族思い。常に『比嘉家の長男』を自負し、家族のためさまざまな挑戦をするが、かえって迷惑をかけることが多い」と説明されている。確かに、悪いヤツではなく、心優しいのは確かだが、ダメ兄なのも確かだ。

『ちむどんどん』比嘉家の4兄弟(NHK公式サイトより)

 SNSでは《算太といい、最近はダメ兄が多いな》《朝ドラには昔からずっとこういうダメなキャラがいるよね》といった指摘も多数見られるが、はたしてそうだろうか。

朝ドラの兄は「真面目で優しく聡明」がテッパン

 長い歴史を振り返ると、そもそも朝ドラでは、下に妹や弟のいる「長子」ヒロインが多く、「兄」がいた作品は少なかった。

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 その理由は、戦争などで父不在となり、長子が父がわりになって家族を支えていく物語が多かったことや、空気を読まずに突っ走る「ヒロイン至上主義」の物語では、巻き込まれ型の弟や妹のほうが配置しやすかったことなどがあるだろう。

 しかし、放送時間を変更した『ゲゲゲの女房』(2010年度上半期)以降、『ゲゲゲの女房』、『おひさま』(2011年度上半期)、『梅ちゃん先生』(2012年度上半期)、『純と愛』(2012年度下半期)『花子とアン』(2014年度上半期)、『わろてんか』(2017年度下半期)、『カムカムエヴリバディ』『ちむどんどん』と、兄がいる作品がやや増えている。

『ゲゲゲの女房』でヒロインを務めた松下奈緒

 男性主人公で、兄はいたものの、ドラマには登場していない『マッサン』(2014年度下半期)、義兄がいた『てっぱん』(2010年度下半期)などというパターンもある。

 そして、朝ドラヒロインの兄と言えば、かつては「真面目で優しく聡明」で、ときどき「迷走・転落」「早死に」が定番だった。

 例えば、『ゲゲゲの女房』の場合、教員で、真面目で実直な跡取りの兄(大下源一郎)が登場するし、『おひさま』の2人の兄もほぼ前述の条件に当てはまっている。まず、長男(田中圭)は優秀で優しく正義感が強く、「常にきょうだいの手本であるべき」として自分を律して育ち、若くして戦死してしまう典型的な“朝ドラの兄”。次兄(永山絢斗)は少々ひねくれ者だが、優しく、妹思い。農学校に進学した後、幼い頃から好きだった飛行機への憧れで海軍飛行予科練習生に志願したり、何度も失敗しながら紆余曲折を経て、結局は医師になるという、”朝ドラの兄“の発展版、あるいは次男というポジションもあって、”朝ドラの弟”的部分もあった。