「ニーニーがとうとう働いた!」
4月27日、SNSでまるで「クララが立った!」ばりの盛り上がりを見せたのは、黒島結菜主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『ちむどんどん』の”ニーニー“こと賢秀(竜星涼)だ。
この日、賢秀は脱無職で働き始めたのだが、SNSにはこんな物騒な嘆きが投稿されていた。
《ニーニーがダメ過ぎて見続けるのがつらい》
《ニーニー、早く〇んで欲しい》
《釜茹でしてしまえ》
さらに、《今回も算太系の兄か》《算太に続いて、またしてもクズ兄》などと、朝ドラ前作『カムカムエヴリバディ』の初代ヒロイン・安子(上白石萌音)の兄・算太(濱田岳)と重ね合わせて見る声も続出している。
算太といえば、3世代ヒロインの100年のファミリーヒストリーをつなぐキーパーソンであり、お金を持ち逃げしたことで、初代ヒロイン(上白石萌音)と、その娘の二代目ヒロイン・るい(深津絵里)を引き裂くきっかけを作った人でもあった。
そう考えると、まだ序盤にもかかわらず、算太と並べて語られるとは、ある意味、なかなかの「実力者」だ。なぜここまで批判の声が多いのか。
天真爛漫なニーニーだが「相変わらず」
「ニーニー」と呼ばれる賢秀は借金を抱える貧しい比嘉家の長男だ。幼い頃は運動会に履く新しいズックを欲しがっていたのに、頭が良くなるという怪しげなバンド欲しさに、いったんはズックを諦めてまでバンドをねだり、最終的にはズックも買ってもらっていたという“ちゃっかり者”。しかし豚の世話を熱心にするなど、優しい子でもある。
父・賢三(大森南朋)が亡くなった後、一瞬は薪割りなどを家のために頑張るが、10日も経つと飽きて、投げ出してしまう。だが、忍耐が続かないのは、両親が子どもたちを伸び伸びと子どもらしく育ててきたためでもあり、ここまでは微笑ましい。
しかし、遠い親戚から、「4人のうち1人を預かっても良い」と手紙が届くと、親の心子知らずで、四人四様に東京への憧れと期待で胸を膨らませ、賢秀は「長男だから」自分が行くと主張。にもかかわらず、いざ決断の時が近づくと、豚の世話などを理由に尻込みし、決められない母・優子(仲間由紀恵)の苦悩と、誰も名乗り上げない状況を察して、自分が行くとヒロインが言い出すのだった。
そんな暢子を乗せたバスを追いかけ、「暢子は行かさない。誰も東京には行かさない」と最初に引き留めたのはニーニーだった。そして舞台は7年後へ。
そこで視聴者が盛大にズッコケたのは、7年後のニーニもまた、頭に例のバンドを巻いていること。何より落胆したのは、働いていないこと。喧嘩とボクシングに明け暮れ、苦しい生活の中で高校に行かせてもらったのに、中退し、仕事はどれも長続きせず。お年寄りを突き飛ばした相手を殴りとばしたと思えば、それが暢子の就職先の社長の息子。さすがに責任を感じ、一瞬は仕事に就いたものの、すぐに無職に戻り、さらに一獲千金の投資話を持ち掛けられると、たちまちその気になり、家族を巻き込んでますます大変な状況に。