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「マナー講師の作る“珍マナー”には迷惑」「業者の使い込みはあるある」50代ベテラン社員が語る“葬儀業界のリアル”

葬儀屋もつらいよ #1

2022/05/29
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山川 絶対“思いつき”ですよね。人と違うことを言えば目立てる、みたいな。最近よく聞くのは、「焼香台の前までは斎場の端を歩く」という珍マナーです。真ん中は故人が通るから避ける、という理屈らしくて。

――わざわざ端っこを。

山川 テレビが取り上げたせいで広まっていますが、間違いです!! 神社の場合、参道の真ん中は神様が通るから避けるというものがありますが、それも絶対ではないし、そもそも仏式のお葬式には関係ない話。完全なデマです。

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「業者の使い込み」がなくならないカラクリ

――いわゆる「香典泥棒」を見たことはありますか?

山川 香典泥棒に遭遇した経験はありませんが、業者の使い込みは結構あります。特に地方。というのも、地方はお年寄りが多くて、まだまだ現金主義でしょう。集金したお葬式の費用を、例えばギャンブルにつぎ込んじゃう。すった分は次のお葬式で集金すればいいや、と思うんでしょうね。JA(農業協同組合)なんかは定期的にニュースになるくらい、“あるある”です(笑)。

――金歯を拾う人がいるっていう話を聞いたことがあります。そんなことが本当にあるんですか。

山川 実際に、関西地方のある火葬場では指輪や金歯のような貴金属を拾っている人がいたという話は聞いたことがあります。関西では、お骨を全部持って帰らないんです。関東はお骨を全部持って帰るんですけど、関西は一部だけ。だから、大多数のお骨は残っているんですね。そこから貴金属類をネコババして、換金して……もちろん違法です。今は金歯をしている人自体が少なくなってきましたけどね(笑)。

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