7月7日、静岡県警が露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件に関与したとして、千葉県の自称・飲食店店員の男(43)を逮捕した。

 事件を起こしたのは“盗撮のカリスマ”斎藤果林被告(49)を中心とした盗撮グループ。全国の温泉施設などで盗撮を繰り返しており、今回でグループ6人目の逮捕となる。

 徐々に見えてきた盗撮グループの全貌。しかしその卑劣極まりない実態のすべてが明らかになったわけではない。「盗撮グループの一員だった」という人物への取材記事を再公開する。(初出2022年3月10日、肩書き、年齢等は当時のまま)

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 昨年12月、静岡県警が「盗撮のカリスマ」こと斎藤果林容疑者(49)らを逮捕した。立件された事件だけでも、盗撮現場は北海道、兵庫、神奈川と広範囲にわたっている。

 取材班は斎藤容疑者と現場を共にした元グループのAと接触。「#1」で、絶対匿名を条件にAが語ったのは斎藤容疑者の“表の顔”と“裏の顔”だ。

 そしてさらに取材を進めて浮かび上がってきたのは、複数人が集まって盗撮動画を鑑賞する卑劣な「オフ会」や「依頼盗撮」の実態だった――。(全2回の2回目/前編を読む

「盗撮のカリスマ」こと斎藤果林容疑者(本人のSNSより)

盗撮したバスケ部女子の個人情報を…

 茨城県にある日本百名山の1つ、筑波山。長閑な田園風景が続くこの土地の、とある宿泊施設の一室に夜、浴衣姿で寛ぐ5人ほどの男たちが集まっていた。ノートパソコンとテレビをHDケーブルでつなぐと映し出されたのは、バスケットボール部の女子学生たちの日常風景。次に映し出されたのは、彼女たちが露天風呂に浸かる姿を捉えた盗撮動画だったという。

筑波山 ©️文藝春秋

 Aはこう証言する。

「斎藤は馴染みの盗撮仲間や購入者たちを集めて、盗撮動画を持ち寄り“オフ会”を開いていました。クリスマスや年末年始などにメンバーが集まると、少し広めの部屋を予約し、その一室で開催するのです。

 そこで流されていたのが、女子学生の動画です。某県内のとある温泉施設に、毎年春になるとバスケ部が合宿に来るのですが、斎藤はその入浴動画を撮影していました。更に女子学生個人のSNSを調べて日常の写真を入手する者もいれば、わざわざ練習風景や学園祭の様子を盗撮しにいく者もいます」